現在位置:
  1. asahi.com
  2. ライフ
  3. デジタル
  4. 斎藤・西田のデジタルトレンド・チェック
  5. 記事

シャープとソニーの「国産電子書籍端末」は買いか待ちか?(3/3ページ)

2010年12月9日

印刷印刷用画面を開く

Check

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

:画像1:シャープのメディアタブレット「GALAPAGOS」、5.5型モデル。片手で持てる、持ち運び重視モデル。雑誌や新聞を電車で読みたい人に。3万9800円(シャープ直販のみ)拡大画像1:シャープのメディアタブレット「GALAPAGOS」、5.5型モデル。片手で持てる、持ち運び重視モデル。雑誌や新聞を電車で読みたい人に。3万9800円(シャープ直販のみ)

写真:画像2:「GALAPAGOS」、10.8型モデル。持ち運びを重視しない家庭向けモデル。5万4800円(シャープ直販のみ)拡大画像2:「GALAPAGOS」、10.8型モデル。持ち運びを重視しない家庭向けモデル。5万4800円(シャープ直販のみ)

写真:画像3:ソニーリーダー・Pocket Edition「PRS−350」(実売価格2万円)。ディスプレーに5型の電子ペーパーを採用、大きさはほぼ文庫本と同じ。重量も155gと非常に軽い。バッテリーが2週間持つ点も魅力的拡大画像3:ソニーリーダー・Pocket Edition「PRS−350」(実売価格2万円)。ディスプレーに5型の電子ペーパーを採用、大きさはほぼ文庫本と同じ。重量も155gと非常に軽い。バッテリーが2週間持つ点も魅力的

写真:画像4:ソニーリーダー・Touch Edition「PRS−650」(実売価格2万5000円)。こちらは、ディスプレーに6型の電子ペーパーを採用、少し大きめ。いわゆる「自炊」向けには、こちらが最適拡大画像4:ソニーリーダー・Touch Edition「PRS−650」(実売価格2万5000円)。こちらは、ディスプレーに6型の電子ペーパーを採用、少し大きめ。いわゆる「自炊」向けには、こちらが最適

写真:画像5:GALAPAGOSのメーン画面となる「デスク」。購入した書籍が一覧表示される。新聞や雑誌などもこの中に自動的に「届く」ようになっている拡大画像5:GALAPAGOSのメーン画面となる「デスク」。購入した書籍が一覧表示される。新聞や雑誌などもこの中に自動的に「届く」ようになっている

通信ナシだけど、低価格でとにかく読みやすい! ソニーリーダー

 ソニーの「ソニーリーダー」は、GALAPAGOSやiPadとは大きく違う点が1つあります。それは、ディスプレーが液晶ではなく「電子ペーパー」である、という点です。

 電子ペーパーは、液晶と違いバックライトを使わず、光の反射で文字や画像を見ます。カラー映像の表示もできず、画面書き換えも遅く、動画表示にも向きません。

 しかし、画面の見やすさはダントツです。お手元に、文庫本があったら開いてみてください。明るい場所なら目にも負担をかけず、どの方向から見ても文字が見づらくなることはありませんよね? ソニーリーダーに搭載されている電子ペーパーは、ほぼそれと同じクオリティーを再現している、といって差し支えありません。製品写真には、非常にコントラストの高い白黒の文字が表示されていますが、あれははめ込み合成でもなんでもなく、「ああいう風に見える」ものなのです。液晶画面とは一線を画した「読みやすさ」が最大の特徴です。

 日本で登場するソニーリーダーは、特にこの点に気を配っています。タッチセンサー内蔵で、指を使ってページをめくったり、内蔵ペンで字や絵などをメモしていく、という高度な機能を備えているにもかかわらず、ディスプレーはクリアーな表示を維持しています。このような仕組みを採っているのは、世界中を見渡してもソニーリーダーだけの優れた特徴といえます。

 また、バックライトを使わないため、電力消費がきわめて小さいのも、電子ペーパーの利点です。ソニーリーダーの場合、300ページの小説を約33冊(1万ページ)、バッテリーを充電せずに読めます。おおむね2週間くらいはバッテリーを充電せずにすむ、という感じでしょうか。iPadが10時間、GALAPAGOSが7時間から10時間であることに比べると、まさに「桁違い」の数字です。

 ソニーリーダーは、内蔵ソフト面も優秀です。アマゾンの「キンドル」など、ほかの電子ペーパー採用端末は、PDF文書などを読む場合、拡大・縮小すると表示品質が落ちて読みづらくなるのですが、ソニーリーダーはそんなことはありません。本を裁断してスキャンし、画像の形で保存しておき、電子書籍端末などで読む行為を「自炊」というのですが、現状自炊向け端末として、ソニーリーダーはもっとも優れた製品の一つといっていいでしょう。

 一方で、現状のソニーリーダーは、小説や実用書のような「文字もの」の書籍に特化した作りとなっており、雑誌やマンガの購入には対応していません。「本を買って読む」としても、iPadやGALAPAGOSに比べ汎用性は劣っています。スタート段階では2万冊のラインナップである、とソニーは発表しています。

 もうひとつの弱点は、通信機能に一切対応していないことです。書籍の購入はすべてパソコンで行い、購入後専用ソフトを使って端末へ転送する、という仕組みです。iPadやGALAPAGOS、海の向こうでのライバルであるアマゾンのキンドルが通信内蔵で、どこでも本を買えることに比べると大きく見劣りします。

 他方、現状のiPadやGALAPAGOSに比べると価格は安く、5型のディスプレーで小型なPocket Edition「PRS−350」が実売2万円、ディスプレーが6型のTouch Edition「PRS−650」が実売2万5000円で、ライバルに比べ1万円から2万円は安いのです。機能がシンプルであることを考えれば当然ともいえますが、「本を読むための機器にあまり投資したくない」なら、こちらの方がいいかも知れません。

 どちらの機種を選ぶ場合にもいえるのは、「買いたい本がどのくらい出るか」ということです。スタート時点でのラインナップは率直に言って貧弱ですし、まだまだ「書店に並んでいる本がすべて買える」とはいきません。しかし、出版社も電子化には積極的ですし、ソニー、シャープともに「対応フォーマットは増やしていく」と明言しています。ですから、2011年を通して見れば、それなりのラインナップがそろってくる、と考えるのが妥当でしょう。また書籍については、ソニーとシャープの両者で販売を検討している出版社が多いようです。

 そうなると、選択のポイントは「定期刊行物重視ならシャープ」「小説を読みまくるならソニー」ということになるでしょうか。

 どちらにしろ、「本を買って読む」ことだけを目的にいきなり飛びつくと、ちょっと肩すかしを食らうかもしれません。1年程度かけて、徐々に書籍が増えていくもの、と考えて購入を検討してください。

   ◇

メディアタブレット「GALAPAGOS」(シャープ)製品情報 http://www.sharp.co.jp/mediatablet/

直販サイト「メディアタブレットストア」(シャープ) http://mtstore.sharp.co.jp/

電子書籍リーダー「ソニーリーダー」(ソニー)製品情報 http://www.sony.jp/reader/

前ページ

  1. 1
  2. 2
  3. 3

次ページ

プロフィール

斎藤幾郎(さいとう・いくお)

1969年東京都生まれ。主に初心者向けのデジタル記事を執筆。朝日新聞土曜版beの「てくの生活入門」に寄稿する傍ら、日経BP社のウェブサイト日経PC Onlineにて「サイトーの[独断]場」を連載中。近著に「パソコンで困ったときに開く本」(朝日新聞出版)、「すごく使える!超グーグル術」(ソフトバンククリエイティブ)などがある。

西田宗千佳(にしだ・むねちか)

1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは「電気かデータが流れるもの全般」。朝日新聞、アエラ(朝日新聞出版)、AV Watch(インプレス)などに寄稿。近著に「メイドインジャパンとiPad、どこが違う? 世界で勝てるデジタル家電」(朝日新書)、「iPad vs.キンドル 日本を巻き込む電子書籍戦争の舞台裏」(エンターブレイン)がある。

検索フォーム


朝日新聞購読のご案内
新聞購読のご案内事業・サービス紹介