2011年5月26日
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海外では「クラウド」を使ったネットサービスが色々と登場しています。詳細は別途解説しますが、携帯電話やパソコン、家電など、好きな時に好きなコンテンツを楽しめる、便利なものです。ところが「日本ではこれらのサービスを運営するには、法的なリスクが大きく、日本ではクラウド系サービス、特に著作物の関わるものは難しい」との意見を耳にすることも少なくありません。
世界的な潮流となりつつある「クラウド型サービス」は、本当に日本では「法律の問題でできない」のでしょうか? 知的財産権に詳しい、骨董通り法律事務所の福井健策弁護士に問題の本質を聞きました。(西田宗千佳)
クラウド型サービスが抱える「法的リスク」とは?
まず最初に「クラウド系サービス」とはどんなものなのかを解説しておきましょう。
俗にいうクラウドとは、正確には「クラウド・コンピューティング」のことです。おおざっぱに言えば、ネットワーク上にあるサーバーにデータやアプリケーションを置き、そこへパソコンや携帯電話からアクセスすることで、色々な機器・色々な場所で、同じサービスを利用できるようにしよう、というものです。
例えばアメリカでは、先日次のようなサービスが始まりました。
通販でおなじみのアマゾンは、アメリカ本社が運営するAmazon.comで「Amazon Cloud Player」というサービスを行っています(画像1)。これは、同社が運営する「Amazon Cloud Drive」を応用したもの。Cloud Driveはいわゆる「オンラインストレージ」で、自分のデータを同社内のサーバーに保存しておくサービスですが、Cloud Playerは、その中に蓄積した音楽データを、パソコンやスマートフォンから再生できるようにするものです。自分で持っている音楽をアップロードしてもいいですし、Amazon.comで購入したMP3データを直接Cloud Driveに保存して聞くこともできます。
同様のサービスは複数の企業が行っていますし、アマゾン以外の大手、例えばグーグルも発表済みですし、アップルなども検討中であると言われています。
それ以外にも広く捉えるなら「クラウド的」なサービスは数多くあります。YouTubeやニコニコ動画のような「動画共有サービス」もクラウド的ですし、ファイル交換サービスもクラウド的、といえなくもありません。ネットを活用するという点でいえば、録画番組を転送し、他の場所で楽しむサービスもクラウド的といえるかも知れません。また福井弁護士は、アップルやグーグルが展開しているスマートフォン向けのアプリケーションストアや、紙書籍をスキャンしてデータ化する作業を代行する「自炊代行」も、ごくごく広くいえば「クラウド的」、と指摘します。
こういったサービスのうち、日本でのビジネスに「法的リスク」が存在するものはどれになるのでしょうか?
福井弁護士は「日本の場合、これらすべてで、著作権的な論争が存在します。必然的に『著作者の許諾がないコンテンツが入り込む』余地のあるシステムだからです。かといって、著作権者すべてに許可を取れるか? といえば、手間やコストの問題で、それが難しいのも事実です」と話します。

1969年東京都生まれ。主に初心者向けのデジタル記事を執筆。朝日新聞土曜版beの「てくの生活入門」に寄稿する傍ら、日経BP社のウェブサイト日経PC Onlineにて「サイトーの[独断]場」を連載中。近著に「パソコンで困ったときに開く本」(朝日新聞出版)、「すごく使える!超グーグル術」(ソフトバンククリエイティブ)などがある。

1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは「電気かデータが流れるもの全般」。朝日新聞、アエラ(朝日新聞出版)、AV Watch(インプレス)などに寄稿。近著に「メイドインジャパンとiPad、どこが違う? 世界で勝てるデジタル家電」(朝日新書)、「iPad vs.キンドル 日本を巻き込む電子書籍戦争の舞台裏」(エンターブレイン)がある。