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「最大通信速度」はなぜ出ない? 携帯電話網と通信速度の関係を考える(1/2ページ)

2011年10月27日

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写真:画像1:NTTドコモが12月に発売を予定している「ARROWS X LTE F―05D」。高速通信・Xiに対応しているだけでなく、防水・ワンセグ・おサイフケータイにも対応した「全部入り」のハイスペックスマートフォン拡大画像1:NTTドコモが12月に発売を予定している「ARROWS X LTE F―05D」。高速通信・Xiに対応しているだけでなく、防水・ワンセグ・おサイフケータイにも対応した「全部入り」のハイスペックスマートフォン

写真:画像2:KDDI(au)が発売中のWiMAX対応スマートフォン「HTC EVO(イーボ) 3D ISW12HT」。WiMAXによる高速通信に加え、3D液晶による立体表示も可能。カメラももちろん3D対応拡大画像2:KDDI(au)が発売中のWiMAX対応スマートフォン「HTC EVO(イーボ) 3D ISW12HT」。WiMAXによる高速通信に加え、3D液晶による立体表示も可能。カメラももちろん3D対応

写真:画像3:通信速度は、インターネット網と無線通信部の合算。携帯電話網は、電波の強さや混み合い具合によって通信速度が大きく変わる。WiMAXやXiなど最新の通信規格は、通信がより混み合いにくく、速度が出やすい(図版制作:澤田朋宏) 拡大画像3:通信速度は、インターネット網と無線通信部の合算。携帯電話網は、電波の強さや混み合い具合によって通信速度が大きく変わる。WiMAXやXiなど最新の通信規格は、通信がより混み合いにくく、速度が出やすい(図版制作:澤田朋宏)

写真:画像4:ソフトバンクモバイルが11月に発売を予定している「LUMIX Phone 101P」。ULTRA SPEED対応エリアでは、下りの通信速度が最大21Mbpsに高速化する拡大画像4:ソフトバンクモバイルが11月に発売を予定している「LUMIX Phone 101P」。ULTRA SPEED対応エリアでは、下りの通信速度が最大21Mbpsに高速化する

 10月14日、iPhone 4SがソフトバンクモバイルとKDDI(au)から発売になりました。多くの人が「どちらが快適なのか」を気にしているようです。また、特に今冬は、NTTドコモとauが「高速な新通信規格」を導入したスマートフォンの拡販に力を入れています。ソフトバンクも「ULTRA SPEED」対応スマートフォンを販売します。ところで、「携帯電話での快適な通信」とはなんでしょう? 規格による最大通信速度の違いとはなんでしょう? 今回は、携帯通信向けの新規格とともに、その点を解説します。(西田宗千佳)

同じiPhoneでも、auとソフトバンクで特質は異なる

 iPhone 4Sは、ソフトバンクから販売されているものも、auから販売されているものも、まったく同じハードウエアです。すなわち、快適に使えるかどうかは、携帯電話事業者のサービス次第といっても過言ではありません。2社の違いというと、通話可能エリアの違い、と思われそうですが、実際にはそうではありません。ソフトバンクとauでは利用している通信技術が違うため、実際の使い勝手も異なります。

 例えば、auの通信規格(CDMA2000 1x EV―DO Rev.A)では、通信と通話が同時にできません。通話中はメールなどの受信が一時的に停止します。ソフトバンクの通信規格3Gハイスピード(高速通信規格のHSPA)は、通話との同時通信が可能です。面倒なようにも思えますが、実際に使ってみると、通話時に同時通信する機会は意外と少なく、大きな差に感じませんでした。

 au版では現在、「ezweb.ne.jp」で終わるアドレスのメール(携帯電話用のアドレス、俗にキャリアメールと呼ばれるもの)が、即時配達ではなく、15分に一度確認しに行くようになっています。また、テレビ電話機能「FaceTime」、メッセージ機能「iMessage」が現状使えません。こちらは不便ですが、後日動作検証が終了し次第、使えるようになる予定です。

 とはいえ、これらの点は、両社の最大の違いとはいえないでしょう。両社サービスの最大の違いはやはり「通信」そのものにあります。

 規格上、au版iPhone 4Sの最大通信速度は、下り最大3.1Mbps、上り最大1.8Mbps。ソフトバンク版iPhone 4Sの最大通信速度は、下り最大14.4Mbps、上り最大5.76Mbpsとなっています。数字上は4倍も違うため、「ソフトバンク版は圧倒的にau版より速い」と思われるでしょう。ソフトバンク側も、実際そのような解説を行っています。

 しかし、実情はちょっと異なるようです。

 今回、東京23区内の10カ所でそれぞれの通信速度を計測しました。結論から言えば「ソフトバンク版はauより4倍速い」という結果は出ていません。

 ソフトバンク版の下り速度が最低726Kbps、最速3424Kbpsであったのに対し、au版の下り速度は最低412Kbps、最速2412Kbpsでした。全体的な傾向としては、確かにソフトバンクの方が速いのは事実でした。しかし「最大通信速度」の差から受けるほど大きな違いではありません。他方、通信が始まるまでの反応速度にあたる「レイテンシー(遅延)」は、ソフトバンク版よりau版の方が良かったといえます。ソフトバンク版は65ミリ秒から1104ミリ秒で、数値の幅が非常に広い上に低速な場合が多かったのですが、au版は55ミリ秒から790ミリ秒、しかもそのほとんどが200ミリ秒以内と、かなり高速な方に偏っていました。

 このことから「ダウンロードが始まれば、終わるまでの時間は短いソフトバンク版」「ダウンロードが始まるまでが速く、反応が機敏なau版」という特質がある、と結論づけて良さそうです。

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プロフィール

斎藤幾郎(さいとう・いくお)

1969年東京都生まれ。主に初心者向けのデジタル記事を執筆。朝日新聞土曜版beの「てくの生活入門」に寄稿する傍ら、日経BP社のウェブサイト日経PC Onlineにて「サイトーの[独断]場」を連載中。近著に「パソコンで困ったときに開く本」(朝日新聞出版)、「すごく使える!超グーグル術」(ソフトバンククリエイティブ)などがある。

西田宗千佳(にしだ・むねちか)

1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは「電気かデータが流れるもの全般」。朝日新聞、アエラ(朝日新聞出版)、AV Watch(インプレス)などに寄稿。近著に「形なきモノを売る時代 タブレット・スマートフォンが変える勝ち組、負け組」(ビジネスファミ通)、「メイドインジャパンとiPad、どこが違う? 世界で勝てるデジタル家電」(朝日新書)がある。

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