2011年11月24日
|
|
|
今年の年末、レコーダーに新しいトレンドが生まれています。それは「全録」という考え方です。放送されているチャンネルを全部録画してしまう、ある意味究極のレコーダーといえるものです。
「そこまでのものは、うちにはいらないや。テレビそんなに観ないし」
そう思った方、ちょっと待った。全録レコーダーは、テレビ好きにとって夢のような製品ですが、別にマニアのためのものではありません。いままでのレコーダーとはずいぶん違う発想で使うべき「マニア以外のためのレコーダー」とも言えます。今回は、そんな新潮流「全録レコーダー」について考えてみましょう。(西田宗千佳)
この冬のレコーダーは「全チャンネル録画」がトレンド
今年末に登場するビデオレコーダーの中で、注目の機種を挙げろと言われると、筆者は躊躇(ちゅうちょ)なく、東芝の「レグザサーバー」こと、レグザブルーレイ「DBR―M190/180(画像1)」とバッファローの「ゼン録」こと、「DVR―Z8(画像2)」の2機種をピックアップします。
これらの機種には共通の要素がひとつあります。それはもちろん「全録」です。レグザサーバーもゼン録も、地上デジタル放送のチューナーを複数搭載しており、複数のチャンネルを同時に何日間分も自動で録画します。レグザサーバーは最大6チャンネル分、ゼン録は最大8チャンネル分の番組を同時録画します。録画時間はハードディスク容量と録画画質によって異なってきますが、どちらの機種も一週間以上録画ができます。すなわち、過去数日間、地上波については、すべてのチャンネルで録画された番組が、すべて自動で録画されている、ということになるわけです。
これまでレコーダーはVHS登場以来、「録画予約して使うもの」でした。現在は電子番組表(EPG)が整備され、その情報を生かした自動録画機能も充実してはきましたが、それは人の手による録画予約を自動化したものに過ぎません。しかし「全録」では、録画予約という概念が消えます。全部録画してしまうのだから当然なのですが。録画予約に失敗して録れていない、ということはなくなります。
「たくさん番組を録画しているんだから、テレビが好きなレコーダー上級者向けの製品ですね」
そんな風に思われますが、むしろ全録は、機械が苦手な人向けの製品といえます。
すでに述べたように、全録型レコーダーには「録画予約」作業も、それに伴う「録画予約の失敗」もありません。動きだしてしまえば、録画に関する操作はもう必要ないわけです。あとは番組表などから、「観たい」と思った番組を選ぶだけ。放送された日時やチャンネルに縛られることなく、「ハードディスクの中にある番組から、興味をそそる番組を選ぶ」だけでいいのです。別のいい方をするなら、「ハードディスクの中に、自分が興味を持てる番組がいつも、なにがしかは存在する」ようになる、といってもいいでしょう。簡単さ、という意味では、これまでのレコーダーよりも圧倒的に上です。
また「そんなにテレビ番組を観ないし」と思う方もいるでしょう。これもまた、別の考え方ができます。
テレビでどんな番組を放送しているのか、全チャンネルのすべての時間について知っている人は、ほとんどいないでしょう。自分が目にすることができる範囲で知っているに過ぎません。その範囲には、確かに「自分が興味を持てる番組」は限られているかも知れません。
でも、自分が把握していない範囲ではどうでしょう? 知り合いから面白い番組を教えてもらったのはいいけれど、もう放送は終わっていた……ということはないでしょうか。TwitterなどのSNSの利用が広がり、そういった「分かった時にはもう終わっていた番組」に出会う確率は増えています。録画予約式である従来型のレコーダーではどうしようもないですが、全録型ならば大丈夫です。番組とのすれ違いを防ぎ、本当に観たいと思った番組だけを観るためのレコーダーが全録型である、ともいえるのです。
「ちょっとの番組を観るためにわざわざ全部録画するのか。もったいない」
そう、その通り。でも、観ない番組は消してしまえばいい。ハードディスクは「消せばまた使える」のですから。全録型レコーダーでは、設定した録画期間を超えた分の番組は、自動的に消えていきます。逆に言えば、残したい番組は自分で「残す」と明示的に設定する必要があります。

1969年東京都生まれ。主に初心者向けのデジタル記事を執筆。朝日新聞土曜版beの「てくの生活入門」に寄稿する傍ら、日経BP社のウェブサイト日経PC Onlineにて「サイトーの[独断]場」を連載中。近著に「パソコンで困ったときに開く本」(朝日新聞出版)、「すごく使える!超グーグル術」(ソフトバンククリエイティブ)などがある。

1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは「電気かデータが流れるもの全般」。朝日新聞、アエラ(朝日新聞出版)、AV Watch(インプレス)などに寄稿。近著に「形なきモノを売る時代 タブレット・スマートフォンが変える勝ち組、負け組」(ビジネスファミ通)、「メイドインジャパンとiPad、どこが違う? 世界で勝てるデジタル家電」(朝日新書)がある。