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「いい体験」を確約する熱意が生む「プロダクト」の強み(2/4ページ)

2011年12月8日

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写真:米アップル上級副社長で製品開発責任者のフィル・シラー氏拡大米アップル上級副社長で製品開発責任者のフィル・シラー氏

「一番いい経験ができる」ことに責任を持とう

――iPhoneの成功の要因は、同じアクセサリーと同じアプリがどのモデルでもおおむね使える、という一貫性にあると思います。アップルが「一貫性」を維持できている秘密はなんですか?

シラー アップルの独自性としては、商品に「責任を持つ」ことだと思います。デザインもそうですし、使い勝手についても、性能についても、そしてある意味コンテンツについてもそうです。「お客様がその製品で一番いい経験ができること」について責任を持とうと、常に考えているのです。

 ですから、商品のジャンルをまたいで、例えばiPod TouchとiPhoneの間であっても、iPadの間でも、1つのストアで簡単にアプリが買えます。マックでも、iPhoneのようにアプリを探せるようになりました。アップルだけがインテグレートされていて、他社は断片化(フラグメンテーション)が起きているのです。ですから我々の製品は、イノベーティブでありながら使いやすいのです。

――昔から多くの人が、「動いているOSはアップデートしたくない」「商品はそのままで使いたい」と考えています。結果、最新のOSでなく、古い技術で「統一」されてしまうことが多かったように思います。現在の、スピード感の増した世界では、最新のOSで統一された世界の方が良いのでしょう。「OSのアップデート」に躊躇(ちゅうちょ)する人々に、良いアドバイスをいただけますか?

シラー 昔の話をしましょう。

 100年前、車はバラバラのデバイスとして売られていました。ボディーやエンジンなどがそれぞれのパーツとして売られており、買った時にまとめるもの。自動車メーカーはそのうち、「本当に最初からできあがった形で、よりよくデザインされたものがあれば、お客様はもっと喜んでくれる」ということに気がつきました。だから、フォードやトヨタは、完成されたパッケージとしての自動車を売り始めたわけです。

 コンピューターについても似たような話ができます。アップルはそれを最初からわかっていました。バラバラにするのでなく、一つにまとまった形であるべきだ、ということを、です。特にコンシューマーデバイス、パーソナルなデバイスについては、今まで以上にそういったことが大切になるのではないかと思うのです。

 競合他社は、そういったことを少し忘れてしまっているのではないでしょうか。それぞれのハードとソフトをうまく組み合わせればなんとかなる、と思っている。

 そういうことを理解して一体のデザインをしているのが我々です。その強みはますます重要になります。また、機器を横断した使い方が増えてくる以上、そういった点はもっと重要になるでしょう。どの商品にどの機能がついてくるのかわからなかったりすると、大変です。一つのデバイスしか使っていなかった時にはわからなかったことが、人生の中で複数のデバイスを使うのが当たり前になった現在では非常に大切です。そういったことを気にしなくても良い、最新のOSを使っていればすべてが簡単につながる、ということが重要なのです。

 それがAndroidにはできないこと。アップル製品であれば、それぞれを簡単に、わかりやすく連携させ、すべての機器に対して最新の技術を提供できる、ということです。

――ネットサービスにおいては、コンテンツやサービスの提供において、残念ながら、すべての国で同時に展開できないものがあります。iCloudに自分が持っている音楽ファイル置いて、自分が所有するiPod touchやiPhoneで音楽が共有できるiTunes Matchはその典型的なものです。日本も含め、世界中でこれらのサービスを展開する可能性について教えてください。

シラー はい。その通りですね。iCloudの機能についても、可能な限り世界中で展開できるよう努力と交渉を一生懸命、続けているところです。商品を提供している国々に対しては、どんどん機能を増やしていくつもりです。

 他方、こういったサービスを「完全に世界に同時に」という形で展開できた人々はまだいないでしょう。クオリティーを保ちながら、きちんとやっていくには、多少お時間をいただくことになってしまうと思います。

プロフィール

斎藤幾郎(さいとう・いくお)

1969年東京都生まれ。主に初心者向けのデジタル記事を執筆。朝日新聞土曜版beの「てくの生活入門」に寄稿する傍ら、日経BP社のウェブサイト日経PC Onlineにて「サイトーの[独断]場」を連載中。近著に「パソコンで困ったときに開く本」(朝日新聞出版)、「すごく使える!超グーグル術」(ソフトバンククリエイティブ)などがある。

西田宗千佳(にしだ・むねちか)

1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは「電気かデータが流れるもの全般」。朝日新聞、アエラ(朝日新聞出版)、AV Watch(インプレス)などに寄稿。近著に「形なきモノを売る時代 タブレット・スマートフォンが変える勝ち組、負け組」(ビジネスファミ通)、「メイドインジャパンとiPad、どこが違う? 世界で勝てるデジタル家電」(朝日新書)がある。

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