現在位置:
  1. 朝日新聞デジタル
  2. ライフ
  3. デジタル
  4. 斎藤・西田のデジタルトレンド・チェック
  5. 記事
2012年9月19日10時0分
このエントリーをはてなブックマークに追加

「ちょっと」の積み重ねで大幅に軽く、快適に! 「iPhone 5」と「iOS6」をテストする

【動画】iOS6搭載のiPhone5で3Dマップを表示

写真:画像1:iPhone 5(ブラック&スレート)。ディスプレーの縦横比が3:2から16:9に変更になり、縦長になった。ガラスの貼り合わせから、アルミの削りだし+無線部をガラスでカバー、という形になって、より薄く、軽くなっている。この他、白を基調とした「ホワイト&シルバー」も(撮影:中村宏)拡大画像1:iPhone 5(ブラック&スレート)。ディスプレーの縦横比が3:2から16:9に変更になり、縦長になった。ガラスの貼り合わせから、アルミの削りだし+無線部をガラスでカバー、という形になって、より薄く、軽くなっている。この他、白を基調とした「ホワイト&シルバー」も(撮影:中村宏)

写真:画像2:本体はぐっと薄型化(左)。ボディを「ガラス貼り合わせ」から「アルミ削り出し素材の組み合わせ」に変えたためだろう。重量は112gと、iPhone 4S(右)より28gも大幅に軽くなっている(撮影:中村宏)拡大画像2:本体はぐっと薄型化(左)。ボディを「ガラス貼り合わせ」から「アルミ削り出し素材の組み合わせ」に変えたためだろう。重量は112gと、iPhone 4S(右)より28gも大幅に軽くなっている(撮影:中村宏)

写真:画像3:iPhone 4S(右)との比較。横方向のサイズはほとんど変わっていないが、縦方向に画面が伸びたため、その分縦長になっている(撮影:中村宏)拡大画像3:iPhone 4S(右)との比較。横方向のサイズはほとんど変わっていないが、縦方向に画面が伸びたため、その分縦長になっている(撮影:中村宏)

写真:画像4:iPhone 5のホーム画面。アイコンが一列多く表示できるように変更されている。画面左上にある「LTE」の表示にも注目。LTEサービスに対応したエリアでは、この表示が出て、より高速に通信ができるようになる拡大画像4:iPhone 5のホーム画面。アイコンが一列多く表示できるように変更されている。画面左上にある「LTE」の表示にも注目。LTEサービスに対応したエリアでは、この表示が出て、より高速に通信ができるようになる

写真:画像5:今後、iPhoneなどのコネクターとして使われる「Lightning」(左)。表裏がなくてどちらでも挿すことができて、サイズも小さい。従来の30ピンコネクター(右)との互換性は、別売りのアダプターを使って維持する(撮影:中村宏)拡大画像5:今後、iPhoneなどのコネクターとして使われる「Lightning」(左)。表裏がなくてどちらでも挿すことができて、サイズも小さい。従来の30ピンコネクター(右)との互換性は、別売りのアダプターを使って維持する(撮影:中村宏)

写真:画像6:アップルの新標準ヘッドホン「EarPods」。独自の形状による、耳への収まりの良さが最大の特徴だが、音質もこれまでに比べ格段に改善している。標準添付品としてはかなり優秀(撮影:中村宏)拡大画像6:アップルの新標準ヘッドホン「EarPods」。独自の形状による、耳への収まりの良さが最大の特徴だが、音質もこれまでに比べ格段に改善している。標準添付品としてはかなり優秀(撮影:中村宏)

写真:画像7:左がiOS5(iPhone 4S)での、右がiOS6(iPhone 5)での地図機能。ともにナビのものだが、情報量はかなり異なる。「日本の地図的」なのはiOS5の方で、iOS6は英語の情報が残り、簡素すぎる印象。大幅な増強が求められる拡大画像7:左がiOS5(iPhone 4S)での、右がiOS6(iPhone 5)での地図機能。ともにナビのものだが、情報量はかなり異なる。「日本の地図的」なのはiOS5の方で、iOS6は英語の情報が残り、簡素すぎる印象。大幅な増強が求められる

 9月21日、iPhoneの新モデル「iPhone 5」が発売になります。今回は、OSのバージョンが「iOS6」になるだけでなく、ハードウエアの様々な部分にも、これまで以上に大きな変更が加えられています。条件面だけを見れば、これまでで最大の変更といえるでしょう。

【写真ギャラリー】iPhone 5の操作性や新機能を試す

 新iPhoneは、どう変化したのでしょうか? 使い勝手は「上がった」といえるでのでしょうか? 製品版を入手しましたので、変更点を中心にチェックしてみましょう。

 細かな操作画面などについては、別途フォトギャラリーを用意していますので、そちらも併せてご覧ください。(西田宗千佳)

幅は変えずに画面を拡大、精密加工で「軽さ」がアップ

 iPhone 5の最大の変更点は、やはり「外観」です。角のとれた四角い板状であることに違いはないのですが、縦横比が変わり、素材感も違います(画像1)。iPhone 4やiPhone 4Sはガラスを貼り合わせたような構造でしたが、iPhone 5では精巧に削りだしたアルミに、電波発振部をカバーするようにガラスを組み合わせたものになっています。同じ黒や白をモチーフとしたカラーリングですが、より落ち着いた、高級感のあるデザインに変更されています。

 このようなデザインになったこと、アンテナを中心に内部構造が見直されたことによって、重量は112gと28g軽くなり、厚みは7.6mmと1.7mm薄くなっています(共にiPhone 4Sとの比較で)。数字だとちょっとした違いに思えますが、持ってみると「はっ」とするほどの差を感じます。特に軽量化については、かなり大きな差であると感じられます(画像2)。

 ぱっと見、最初に気になるのは画面の変更でしょう。

 これまでiPhoneは、縦3:横2で作られてきました。ドット数はiPhone 4から960×640ドットになりましたが、この縦横比が変更されたことはありませんでした。しかし、iPhone 5ではこれが変わります。縦横比は16:9、ドット数は1136×640ドットになりました。iPhone 4Sに比べると、ぐっと「縦に伸びた」印象になっています(画像3)。

 スマートフォンの画面大型化は、時代の趨勢(すうせい)です。他の機種では、4インチはもはや当たり前。5インチという、もはやタブレットにかなり近いサイズのものも登場しています。iPhone 5のディスプレーも、スペック上では「対角4インチ」となっています。しかし、これでも変えていないところがあります。それは「横幅」。ドット数が640ドットと同じであるだけでなく、サイズ面でも変化がほとんどありません。アップルによれば、これは「片手での持ちやすさを維持し、持った手の親指で操作しやすくするため」と言います。確かに、4インチを超えるものと比較すると、片手での操作はやりやすくなっています。

 もう一つ、「横幅を変えない」ことには意味があります。横幅を640ドットから変えなかったことで、アプリの互換性を維持しやすくなったのです。

 縦方向に176ドット伸びたことで、画面にはずいぶん余裕ができました。ホーム画面のアイコン表示にして1列分、ウェブ表示でも数行分余計に表示できるようになっています(画像4)。音楽再生画面でも、アルバムアートに操作画面がかぶらずに表示されるようになりました。多くの場合、画面の拡大はプラスに働きます。16:9の画面は紙の書籍と縦横比がかなり異なるので、電子書籍を読む時には違和感を強く感じますが、気になるのはその時くらいでしょう。

 では「これまでのアプリ」は? iPhone 4S以前の機種向けに作られたアプリは3:2の画面しか想定しておらず、縦方向が足りません。しかし、横幅は同じ640ドットなので、iPhone 5では、3:2(960ドット)の画面の上下に「黒枠」をつけて再現されます。画面に無駄が生まれますが、トラブルを起こすことなく、これまでのアプリも利用できることになるのです。なお、アップル側の説明によれば、アプリ開発者による16:9への対応は、非常に簡単である、とのことです。

新CPU「A6」で劇的高速化、写真画質アップ! LTEと新インターフェースの導入は功罪半ば

 中身ももちろん、大きく変化しています。

 もっとも大きな違いは、もちろん「高速化」です。iPhone 5では、新たに「A6」というCPUが使われています。A6の中身をアップルは公開していませんが、性能的には、iPhone 4Sで使っている「A5」の2倍の性能がある、としています。A5はCPUコアを2つ搭載したデュアルコアCPU。だからA6はさらに倍のクアッド(4)コアCPU……と思われそうですが、どうやら違うようです。アップル関係者の話では、A6は「デュアルコアCPU。デュアルコアのまま性能を高くしたもの」だと言います。現状、クアッドコアCPUを採用したスマートフォンも登場していますが、CPUコアの数は単純にスピードを表すものではありません。アップルはアップルなりの理由により、コアを増やすのではなく、1コアの性能を高める方向で改善をしたのでしょう。

 技術的な部分はともかく、A6の採用による高速化には、めざましいものがあります。アプリの起動速度はもちろんですが、画面の縦横回転などもスムーズになっています。特に大きな恩恵を感じるのはカメラ機能です。カメラの起動は、1.6秒(4S)から1.2秒と、ほんのちょっとした高速化ですが、体感上はかなり変わったように感じます。カメラ関係でより高速化したのは、HDR撮影の処理速度です。4Sでは約3.5秒かかっていたものが、5では1.7秒程度にまで短縮され、おおむね2倍の速度になっています。

 他方で、その分加熱も感じます。ボディがアルミになったためか、すぐに全体が発熱します。特に、後述する3D地図を見たり、ゲームをやったりした時には顕著です。背面だけでなく側面も暖かくなるように感じるので、初めて触った時には少し驚くかもしれません。

 ただし、最高の温度は、実はiPhone 4Sの方が高くなっています。4Sはピンポイントで39度まで上がることがありましたが、5は全体が37度弱まで上がる、といった感じでしょうか。ガラスとアルミの感触の違いもありそうです。逆に、4Sに比べ「冷えやすい」とも感じました。

 CPUの変化と同様、カメラ機能にも変化があります。センサーのスペック上は4Sから大きな変化はないように見えますが、撮影された写真のクオリティーは大きく異なります。かなり発色が良くなっていて、すっきりとした映像になります。なにより違うのは「パノラマ撮影」「動画撮影中の静止画撮影」ができるようになっている点でしょう。パノラマ撮影は、カメラを横に動かすだけでOK。コンパクトデジタルカメラなどにも同様の機能がありますし、iPhone用アプリですでに実現したものもありますが、それより操作はわかりやすく、なめらかになっています。動画撮影中も、気になったシーンで「静止画」で保存することもできるようになっています。ただし、この時の解像度は、本来の撮影解像度である3264×2448ドットではなく、1920×1080ドットに制限されますが(すなわち、動画の一部を瞬時に切り出しているのです)。また「自画撮り」用の表側カメラが、30万画素から120万画素へと、大幅に性能向上したのも、よく使う人にはうれしいポイントでしょう。これらカメラ機能の向上は、A6に内蔵されている画像処理用の「イメージシグナルプロセッサー(ISP)」部が、A5に比べ大幅に改良されたためである部分が大きく、スペックでははかれない改善点、といえるでしょう。

 内部変化の点で、もう一つ大きいのが「通信規格」の変化です。従来の3G通信に加え、高速通信規格である「LTE」(正確には、FDD-LTE)に新たに対応しました。これまで日本では、NTTドコモとイーモバイルが、FDD-LTEによるサービスを提供してきましたが、iPhone 5の発売に合わせ、ソフトバンクとKDDIもサービスを開始します。本記事執筆中の段階では、まだ正式にサービスがスタートしていないため、完全な通信速度テストは行えていませんが、KDDIの回線を使った、東京都内のLTEで通信が可能な地域でのテストでは、3Gでの実効通信速度が1.5Mbpsから2Mbps程度であったのに対し、LTEでは10Mbpsから11Mbpsと、軽く5、6倍の速度が出ていました。

 ただし、ここには注意すべき点もあります。LTEはまだサービスエリアが狭く、しばらくはごく狭い地域でしか使えません。また、LTEと3Gのエリアを行ったり来たりすると、消費電力がより高くなり、バッテリーが切れやすくなる可能性があります。この点は検証ができていませんが、他の携帯電話での例を考えると、同様である可能性がかなり高いと思われます。ただしiPhone 5では、設定の中に明示的に「LTEをオフにする」という機能が用意されているので、これを使えばバッテリーの問題は出ないでしょう。ただし、LTEのエリア内でも結局高速通信ができない、ということになってしまいますが。LTEが利用できないエリアにお住まいでも、iPhone 5では「LTEを利用するプラン」でしか契約できないため、常に3Gで通信するようにするのは、ちょっともったいない気もします。

 これらの高度な機能を入れるため、特にLTEに対応させるためのアンテナを収納するために、iPhone 5の中身はかなりギリギリで、余裕がなくなっています。これまで使っていた「30ピン」のコネクター、通称「Dockコネクター」も、「マイクロSIMカード」も、大きすぎて入れることができなくなりました。そのため、SIMカードはより小さな「ナノSIMカード」に、コネクターは新規開発の「Lightning」に変わりました(画像5)。

 特に問題は後者でしょう。Lightningは、コネクターがとても小さくてシンプルで、丈夫に作られています。コネクターの表裏もなく、どちらの方向に挿してもOK。使い勝手はDockコネクターよりかなり改善しています。この点はまちがいなくプラスです。しかし、コネクター形状が変わったので、当然そのままでは、これまでのiPhoneやiPod用の周辺機器が使えません。ここはもちろんマイナスです。これまでの周辺機器をつなぐ場合には、別売の「Lightning - 30ピンアダプタ」(2800円)が必要になります。今回、このアダプターのテストはできていませんが、アップル側の説明によれば、「映像出力を除き、ほとんどの周辺機器との互換性がある」とのことです。映像出力については、今後数カ月以内に発売予定の「Lightning - HDMIケーブル」もしくは「Lightning - RGBケーブル」を利用することになりそうです。

 なお、これはiPhone 5に限ったことではありませんが、今秋のアップルが発売するiOS・音楽関連機器より、標準添付されるヘッドホンが変更になりました。名称は「EarPods」(画像6)。単体でも2800円ですでに発売済みです。

 EarPodsは、耳のサイズや内部形状を研究し、より収まりの良い形状を目指したものです。従来の標準添付品に比べ、格段につけやすく、落ちにくくなりました。耳の奥に押し込む、いわゆる「カナル型」ではないので、騒音防止にはあまり役に立ちませんが、一方で、耳への圧迫感もありません。低音を中心に、音質も向上しています。もちろん、数万円もするような高級ヘッドホンにはかなわないのですが、標準添付のヘッドホンとしては、音質が著しく改善したのは間違いありません。

地図機能はiOS6への移行で「一時後退」、「電話」と「写真共有」には技あり

 iPhone 5の特徴の一つは、OSのバージョンが「5」から「6」に進化したことです。iOS「6」は、iPhone3GS以降のiPhone、iPad 2と第3世代iPad、2010年以降発売のiPod Touch(第4世代以降)でも使える予定で、9月19日以降、ダウンロード提供される予定です。が、性能面でもハードウエアの能力の面でも、すべての機能を完全に使うには、最新のハードウエアを備えたiPhone 5が最適であることは間違いないでしょう。

 iOS6にはいくつもの特徴がありますが、最大の変化は「地図」を基本としたローカル情報の扱いです。

 iOS5まで、iOS上の標準の地図機能は、グーグルと提携して提供されてきました。要は、グーグルマップがiPhoneの地図アプリの中身でもあったわけです。しかしiOS6からは、その関係が終了し、アップルの独自提供する地図に変わります(画像7)。いままでの地図は画像ベースでしたが、アップルの地図はベクターベースとなり、拡大縮小・回転などがより容易になり、表示速度も速くなります。また、世界の有名な地域については、建物や地形が3Dグラフィックで再現され、よりリアルに体験できるようになりました。また、道順にあわせて経路を指示してくれる、カーナビと同じような「ターン・バイ・ターン」と呼ばれる形式のナビゲーション機能も搭載しています。

 が、良いことばかりではありません。

 地図は地道な改良と、そのためのノウハウが重要なサービスです。グーグルは長年にわたり、国内のパートナーと共に地図開発を行ってきたため、地形・地域・交通など、各種情報がしっかりと、日本人にわかりやすい形で表示されています。しかしアップルの作っているiOS6のものは、まだ情報が少なすぎる印象です。建物や店の種別、交通機関の表示方法などが、まだ「日本的」ではありません。アップルによれば、「地図の情報は継続して改善中」とのことですが、短期的には、iOS5時代の地図から、体験が後退することになるのは否めません。また、アメリカなどではサポートされている「3Dの地図」も、日本ではまだサポートされていません。

 これらの問題が解決されるまで、iPhone上の地図は体験が後退することになります。これは正直残念な決断です。しかし、グーグルは「iPhone用のアプリを準備中」と公言していますし、アップルも改善を公約しています。混迷期が短いものになることだけを期待します。

 他方で、もちろんプラスの部分もあります。

 特に良いと思ったのは「電話」に絡む機能の改善です。

 例えば、電話が来たのだけれど出られない時の対応です。iOS6では「メッセージで通知」「後から返信」という機能が使えます。電話の着信画面で、右端の「電話」アイコンを上に引き上げると、「メッセージで返信」「後で通知」という機能を呼び出せます。前者は、SMSで「今電話に出られません。後で折り返します」といったメッセージを送るもので、後者は「リマインダー」に、「電話を折り返す」というタスクを設定するものです。どちらも数度画面をタップするだけでOKです。

 「おやすみモード」という機能もおもしろいものです。定めた間だけ、電話の着信を受ける相手を指定したり、何回も折り返してくる人の着信だけを認めたり、といったことができます。完全にオフにしてしまうのではないので、緊急性の高い、重要な電話はきちんと着信してくれるようにできる、ユニークな機能といえます。

 また、写真をネット上で共有するための「共有フォトストリーム」機能も魅力です。元々iOSとマックOSでは、アップルのネットサービス「iCloud」と連携する形で、写真の共有機能「フォトストリーム」が用意されていました。しかしこの機能は、あくまで「自分が持っている機器同士で写真を共有する」もので、他人に見せるものではありませんでした。

 共有フォトストリームは、その名の通り、写真を「共有」するためのものです。共有したい人のメールアドレスを入力、自分の端末の中にある写真から、共有したい画像を選ぶと、それでもう共有完了。iOS機器を持っている人ならばiOS機器から、そうでない人はウェブから写真を見られます。最初に共有フォトストリームを作った人以外、写真を追加することはできないようになっていますが、各写真に「いいね!」と評価をつけたり(ここでいう「いいね!」はFacebookとは関係なく、独自の機能です)、コメントを書いて、相手に見せたりもできます。知り合いに写真を見せるには、なかなかおもしろい機能といえるのではないでしょうか。

使ってみると戻れない変化、「不便になる点」の評価が勘所

 最後にまとめです。

 iPhone 5は、みかけこそ大きく変わっているのですが、その内実は「着実な進化」です。iPhone 4Sから大きく変わったというより、「iPhone 4Sで不便だったところが変わった」といった方がいいでしょう。そういう意味では、大きなジャンプアップとは言えません。

 しかし、それでもいいのです。iPhone 4Sは非常に完成度の高いスマートフォンで、発売から1年が経過しているのに、まだ他のスマートフォンに比べ優位な点がいくつもあります。それをさらに洗練したのですから、基本的にはウェルカムな改良といえます。「ちょっと速い」「ちょっと軽い」「ちょっと薄い」「ちょっと写真がきれい」「ちょっと広い」だけなのですが、それがみんなあると「意外なほど元には戻れない」、そんな改良といえます。

 他方で、iOS6で変更になった地図機能や、新しいLightningインターフェースなど、一時的に不便を被る部分もあります。LTEへの移行も、LTEの利用可能エリアが広くなるまでは、おもに消費電力の面で、副作用があります。

 それらはどれも、将来を見据えた変更ですが、最短でも数カ月は「ちょっと不便」と感じるでしょう。

 iPhone 5とiOS6には、そういうところがいくつかあります。すべてが理想的に回りはじめればいいのですが、まだちょっと早い。

 トータルではプラスなのですが、そういう「ちょっと不便」を許容しうるか否か、その点を冷静に判断してほしいところです。今すぐは難しいと思ったら、数カ月充実するのを待つ、というのも一つの見識でしょう。でも筆者としては、特に「速い」「軽い」「写真の発色が良い」という点に、代えがたいプラス面があると考えています。

訂正:初出表記で、「iPhone 4Sで使っている『A5X』」とあるのは、「iPhone 4Sで使っている『A5』」の誤りでした。読者のみなさま、ならびに関係者の方々にご迷惑をおかけいたしましたことをお詫びいたします

プロフィール

斎藤幾郎(さいとう・いくお)

1969年東京都生まれ。主に初心者向けのデジタル記事を執筆。朝日新聞土曜版beの「てくの生活入門」に寄稿する傍ら、日経BP社のウェブサイト日経PC Onlineにて「サイトーの[独断]場」を連載中。近著に「パソコンで困ったときに開く本」(朝日新聞出版)、「すごく使える!超グーグル術」(ソフトバンククリエイティブ)などがある。

西田宗千佳(にしだ・むねちか)

1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは「電気かデータが流れるもの全般」。朝日新聞、アエラ(朝日新聞出版)、AV Watch(インプレス)などに寄稿。近著に「漂流するソニーのDNA プレイステーションで世界と戦った男たち」(講談社)、「スマートテレビ スマートフォン、タブレットの次の戦場」(アスキー・メディアワークス)、「リアルタイムレポート デジタル教科書のゆくえ」(TAC出版)がある。

検索フォーム

朝日新聞購読のご案内
新聞購読のご案内 事業・サービス紹介
  • 過去の朝刊
  • 過去のYou刊

アンケート・特典情報