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2012年12月27日11時1分
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年末対談「デジタル機器で振り返る2012年」

写真:iPhone5(アップル)。ソフトバンクとKDDI(au)より発売(提供:アップル)拡大iPhone5(アップル)。ソフトバンクとKDDI(au)より発売(提供:アップル)

写真:iPad mini(アップル)。Wi―Fiモデル・16GBモデル2万8800円から(提供:アップル)拡大iPad mini(アップル)。Wi―Fiモデル・16GBモデル2万8800円から(提供:アップル)〈「iPad mini」を商品検索〉

写真:Nexus 7(グーグル)。32GBモデル2万4800円から(提供:Google)拡大Nexus 7(グーグル)。32GBモデル2万4800円から(提供:Google)〈「Nexus 7」を商品検索〉

写真:Kindle Fire HD(アマゾン・ジャパン)。16GBモデル1万5800円から(提供:アマゾン ジャパン)拡大Kindle Fire HD(アマゾン・ジャパン)。16GBモデル1万5800円から(提供:アマゾン ジャパン)

写真:VAIO Duo 11(ソニー)。約13万8000円(提供:ソニー)拡大VAIO Duo 11(ソニー)。約13万8000円(提供:ソニー)〈「VAIO Duo 11」を商品検索〉

写真:カラリオ EP―805A(エプソン)。約2万2500円(提供:エプソン)拡大カラリオ EP―805A(エプソン)。約2万2500円(提供:エプソン)〈「EP−805A」を商品検索〉

写真:NEX―5R(ソニー)ボディとパワーズームレンズのセット。約8万円(提供:ソニー)拡大NEX―5R(ソニー)ボディとパワーズームレンズのセット。約8万円(提供:ソニー)〈「NEX−5RL」を商品検索〉

 2012年も残すところあと数日。今年も色々なデジタルグッズが登場しました。今年の注目はどのような製品だったのでしょうか? 今回は、本連載担当の斎藤と西田が、2012年注目の製品について対談します。商品からは、時代の変化も見えてきます。今後ITの世界は、どのように変わっていくでしょうか。(斎藤幾郎、西田宗千佳)

今年もアップルの影響が大きかった

西田:今年話題の製品と言えば、なにになりますかね。

斎藤:なんだかんだ言って、iPhone5やiPad miniといったアップル製品に振り回された一年でした。

西田:正直、iPhone5はあそこまでたくさん売れて、大ヒット商品になるとは予想外でした。もちろん、売れるのは間違いないと感じていたのですが、予想以上に売れた。一気にスマートフォンへのシフトを牽引する製品になりました。それだけ、待ち望んでいた人が多かった、ということでしょうか。

斎藤:ソフトバンクとKDDI(au)が同時に発売し、高速通信回線のLTEに対応、さらには、これまで国内では利用できなかったテザリング機能まで使えるなど注目点が多かったから、みな飛びついたのかな。

西田:あとは、iPhoneを待っていたNTTドコモ利用者が、そろそろしびれを切らしてauもしくはソフトバンクに移って契約した、という事情もありそうですね。

斎藤:iPadは、3月に高精細ディスプレイ搭載の新しいiPadが出て、10月に小型のiPad miniが登場、と思ったら、さらに新しいiPadまで同時に発売されてしまった。1年で2世代の製品を発売するのは、近年のアップルにしては珍しいから驚いた。

西田:おそらく、同時に新インターフェースLightningへの移行を進めてしまいたかった上に、製造をより安価にできるという内部事情もあったからでしょうね。

斎藤:これで、最新OSでの「地図の失敗」がなければ良かったのだけれどね。地図のクオリティーがアップルとしてはあまりにお粗末だった。国内メーカーの地図アプリや「グーグル・マップ」で代用できるとはいえ、残念でした。

西田:地図はスマートフォンやタブレットにおいて基盤といえる存在ですからね。ああいうことが続くと、アップル優位も簡単に揺らぐでしょう。

斎藤:ライバルとなる「アンドロイド」もバージョンアップで使い勝手を向上させているからね。いくつか課題はあるけれど、iPhone、iPadのライバルとしての力をつけてきた。この秋にはグーグルブランドの「Nexus 7」も出たしね。

タブレットは「7インチ」が主戦場に

西田:iPadほどの統一感、コンテンツ量はないものの、サイズや価格の面で、Nexus 7は魅力的ですね。iPad miniも含め、「7インチクラス」のタブレットがたくさん出て、選択肢が広がったことが、今年の特徴です。特に日本では、このサイズは本命ですね。シャープの「AQUOS PAD SHT21」(auより発売)や、NECの「MEDIAS TAB UL N―08D」(NTTドコモより発売)など、軽さをウリにする日本製タブレットも増えています。ただし、価格の面でかなり不利。

斎藤:7インチクラスの製品は国内メーカーの方が先行していたけれど、「まず国内向けに」という開発のしかたなので、最初から世界規模で大量に売るつもりで開発された製品と価格で勝負するのは難しい。特に「Nexus」シリーズは、低価格で最新の端末を提供しようというグーグルの意向が強い。国内メーカーは基本機能に加えて何らかの「付加価値」を考えるのだけれど、ユーザーのニーズは千差万別だから、「負荷価値」になってしまうこともある。

西田:全世界向けに一気に生産して価格面で有利に、というと、アマゾンの「Kindle Fire HD」が代表格。アマゾンからしかアプリやコンテンツが買えない、という縛りはあるものの、1万5800円という価格はとにかく魅力。その分、ライバルに比べて分厚くて重いんですが、そこは好み次第ではありますね。「コンテンツを買ってもらう代わりに安価にハードウエアを提供」という形態は、しばらく色々なところで試みられる形になりそうですね。

斎藤:ただ、「うちの端末でしか見られません」というコンテンツの売り方は、サービスと端末の両方がよほど強力でない限り、うまくいかないと思う。そういうやり方で通用するのは、アップルや任天堂など数社に限られる。それ以外は、サービス自体は他社の機械からも使えるようにしたうえで、自社の機械ならではの「何か」を加える必要があるでしょう。先ほどの「負荷価値」の話とは矛盾してしまうけれど。

西田:アマゾンは、そこをうまくやっていますね。電子書籍も音楽も、どの端末でも利用できる代わりに、アマゾンの端末を使うと、機械のコストまで入れればもっとも安くなる、という形にしている。

いまだ真価を見せないウィンドウズ8

斎藤:スマートフォンやタブレットの利用シーンが広がるにつれて、パソコンの立場が微妙なものになりつつあるよね。マイクロソフトは10月に発売した「ウィンドウズ8」でそれに対応しようとした。でも、販売数自体はかなり多いと聞いているけれど、ウィンドウズ95やXPのころのような「熱狂的な盛り上がり」は無い気がする。

西田:ウィンドウズ8は、OSとしての出来はいいですし、同時に出たパソコンにも、意欲的なものが多い。でも残念ながら、ウィンドウズ8から導入された「新しい操作体系」の魅力が生きてこない。アプリはなかなか増えないし、あの機能を積極的に使う意味がなかなか出ていない。タブレット的に使うならiPadやアンドロイドの方がいい、というのが、多くの人の本音ですよね。

斎藤:かといって、従来通りの「パソコンの使い方」をするなら、ウィンドウズ7で十分というのがつらいところ。「ウィンドウズ8らしく」使いたいと思うと、少なくとも画面をタッチ操作できるノートパソコンが欲しい。ソニーの「バイオ DUO 11」のようなタブレット風に変形するものに人気が集まるのも、普通のかたちのパソコンではウィンドウズ8が使いやすいようには見えないからかもしれないね。

西田:間違いなく今後は、普通のパソコンでも画面にタッチ機能が付くものが多くなり、画面の解像度もより高くなるのでしょう。そういう意味では、ウィンドウズ8によって、タブレットの価値がパソコンにもたらされたのは間違いありません。しかし、それはあくまで補助的な要素であり、「タブレットとして使いやすい」わけではない。その辺りのジレンマをどう解決するかが、ウィンドウズに求められているもの、といえそうです。他方でマックはその辺を潔く切り捨てている。

斎藤:ウィンドウズ8がもたもたしていると、マックに移るユーザーが増えることも十分考えられる。マックにはウィンドウズもインストールできるし。

西田:以前に比べると、「ウィンドウズでなくてはできない」ことが減ったのは事実ですね。もちろん、ソフトの買い足しなど、乗り換えにかかるコストはまだ無視できないので、二の足を踏む人は少なくないと思うのですが。

無線搭載で周辺機器も「スマートフォン対応」が一般的に

斎藤:いわゆる、「周辺機器」と呼ばれるようなデジタル機器の分野では、すでに「ウィンドウズ専用」のものより、「スマートフォンやタブレットで使えます」という製品に力が入っているものね。本連載でもこうした製品には注目してきた。接続法もUSBケーブルだけでなく、Wi―Fiやブルートゥースといった無線機能も広く使われるようになってきた。インクジェット複合機ならエプソンの「カラリオ EP―805A」、ドキュメントスキャナーでは富士通の「スキャンスナップ FI―IX500」など。

西田:デジカメだと、ソニーの「NEX―5R」など、Wi―Fi搭載機が増えていますね。でもこれらの機器が示すのは「パソコンはもういらない」という話ではないと思うんです。そうではなく、「パソコンがないシーンで、パソコン以外からも使う」ということ。例えばWi―Fi内蔵カメラの場合、スマートフォンなどに写真を転送し、ソーシャルネットワークなどで公開するためなどに使われます。スマートフォンでも写真は撮れるけれど、それでは画質面で満足できない。そこで「専用機」であるデジカメの力を生かそう、ということでWi―Fi連携が生まれた。他の機器も、「パソコンを介さずとも周辺機器の力を生かせる」という発想で作られています。

斎藤:同じ人が、パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットも使う、というのが普通のことになってきたから、手持ちのどの機器からも利用できるというのが周辺機器にとって大きなセールスポイントになる傾向は今後も続くでしょう。

西田:もはや、個人が使うコンピューターはパソコンだけではなくなっている。スマートフォンやタブレットによって、いろんな場所で、いろんな形でコンピューターを使うようになってきています。それらを生かすためにも、周辺機器の力は必要、ということなんですね。

斎藤:一方で、あらゆる機器がインターネットを介してつながるようになっているので、セキュリティーには本当に気を付けてほしい。「ウイルス」のような不正なソフト/アプリを防ぐのはもちろん、ブラウザーで「偽のページ」におびき寄せられて個人の情報を盗まれてしまったり、新しいコミュニケーションサービスが楽しいからと言って、不必要に個人的な情報をさらしてしまったりするリスクもある。

西田:今年のうちに、パソコンやスマートフォンのセキュリティーソフトの設定や契約の継続状況は、確認しておいて欲しいですね。

斎藤:年明けの仕事始めには、パソコンでメールを送受信する前に、ウィンドウズ、オフィス、アドビ・リーダーなどの更新チェックもお忘れなく。

プロフィール

斎藤幾郎(さいとう・いくお)

1969年東京都生まれ。主に初心者向けのデジタル記事を執筆。朝日新聞土曜版beの「てくの生活入門」に寄稿する傍ら、日経BP社のウェブサイト日経PC Onlineにて「サイトーの[独断]場」を連載中。近著に「パソコンで困ったときに開く本」(朝日新聞出版)、「すごく使える!超グーグル術」(ソフトバンククリエイティブ)などがある。

西田宗千佳(にしだ・むねちか)

1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは「電気かデータが流れるもの全般」。朝日新聞、アエラ(朝日新聞出版)、AV Watch(インプレス)などに寄稿。近著に「漂流するソニーのDNA プレイステーションで世界と戦った男たち」(講談社)、「スマートテレビ スマートフォン、タブレットの次の戦場」(アスキー・メディアワークス)、「リアルタイムレポート デジタル教科書のゆくえ」(TAC出版)がある。

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