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2012年7月10日
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メディアリポート

【ネット】ネットに飛び込んで探す参加型情報収集の可能性

筆者 橋本大也

 最近では、コミュニケーションによって対人関係から新たな情報を引き出したり、他人の体験から学んだりする、「参加型情報収集」が盛んだ。グーグルなどの、過去に書かれた情報の検索では入手できない、生きた情報を取り出すことができる。

 参加型情報収集は、基本的にはネット掲示板やSNSなどを活用した情報収集と考えてもよい。しかし、さらに進んだサービスを使えば、より良質な情報を広く得ることができる。こうしたサービスは主に海外で発達しており、ここではユニークな機能を持った注目株をいくつか紹介してみよう。

●【Scoople】投票で世間の「常識」を理解

 さまざまなジャンルのニュース記事に対して投票することで、世間の関心を計るサービス。

 たとえば、「デジタルミュージックの売り上げが、初めてCDの売り上げを上回った」というニュースがあり、この記事に「あなたはこの1年で何らかのCDを買いましたか?」という投票項目が付けられている。

 参加者はYESかNOで答えたうえで、「あなたの意見は多数派だと思いますか?」という問いにも答える。そして数日して、自分の予想が当たっていれば、ポイントがもらえる。このスコアが高ければ高いほど、世間の人々の「常識」を理解していることになる。

Scoople
http://www.scoople.it/

●【SideTaker】口げんかを投稿して議論

 けんかをしている2人が、自分の言い分を投稿し、参加者に投票してもらうことで、どちらが正しいかを決めてもらうサービス。

 少々くだらない例に見えるが、実際に投稿された夫婦げんかの事例を挙げると、夫「28歳Bカップの妻が8000ドルもする豊胸手術をしたいと言っておりけしからんと思う」妻「私は胸をもっと大きくしたいの。2人の子どもを産んでからBカップがAカップになってがっかりしたんだもの、何が悪いの」といった具合だ。

 参加者はどちらかに肩入れして投票し発言もする。どんなに些細な主題でも、議論で勝つにはそれを正当化するデータや論拠が必要となる。痴話げんかからでも、背景にある差別意識や、同じ悩みを持つ者の声など、意外な社会的課題が見えてきたりする。

Side taker
http://www.sidetaker.com/

●【Learning to love you more】課題を実行する人気コンテンツ

 書かれた課題を実行して、参加者が投稿することでコンテンツを作るサービス。

 このサイトには「あなたの両親がキスをしている写真を撮影しなさい」「幼い子どものドキュメンタリー映像を投稿しなさい」「直近起きた議論のことを書きなさい」など、ちょっと気力が要り手間がかかる70の課題が書かれている。参加者はこれらを実行して結果を報告する。このサイトの投稿は書籍になり、ベストセラーにもなった。

Learning to love you more
http://www.learningtoloveyoumore.com/

●【Covestor】株式投資の売買を全公開

 株式投資売買を全部公開して、本当に儲かっている投資家は誰か、その人はどんな投資行動をしているかを可視化するサービス。

 現在は約170人の投資家が株式の売り買いをリアルタイムに公開しており、参加者は自分がいいと思う投資家をフォローする。

 中途半端なアナリストのいうことを聞くよりも、実際に投資をして儲かっている人の行動は、自分の投資行動を考えるうえで貴重な参考データになる。参加者は月額12.50ドルを運営会社に払い、そのうち半分は、投資ログを公開している投資家に還元される。

Covestor
http://search.covestor.com/

●【43Things】ネットの同志と励まし合う

 まず参加者が「10キロ痩せたい」「本を書きたい」「恋人を作りたい」「可愛くなりたい」などの目標を宣言する。そして、そのテーマでブログを書く。すると同じ目標を持つ他のブロガーたちの更新が、自分のブログの横に表示される。互いに応援コメントを寄せ合うことができ、同志が励まし合うことで、行動意欲が増進され、ブログのコンテンツも増殖していく。

43Things
http://www.43things.com/

 今回紹介した参加型情報収集の利点を列挙すると、
・検索しても出てこない情報を入手できる
・議論(体験)の当事者となることで新たな「境地」をつかむことができる
・情報を持つ他者との関係性をつくることができる
・こちらから仕掛けることで初めて分かることがある
・記事の「ネタ」が得られる
・参加することで自分が有名になることもある
といった点が挙げられる。

 ネットに飛び込んで探す参加型情報収集は、まだ発展途上で、これからもいろいろなサービスが出てきそうだ。(「ジャーナリズム」12年7月号掲載)

   ◇

橋本大也(はしもと・だいや)

データセクション株式会社取締役会長。1970年神奈川県生まれ。早稲田情報技術研究所、メタキャスト、日本技芸などでも取締役を務める。またデジタルハリウッド大学教授、多摩大学大学院経営情報学研究科客員教授として知識イノベーション論などを担当。著書に『情報力』、共著に『新・データベースメディア戦略。』『ブックビジネス2・0』等。

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