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自分だけの写真集−デジカメ市場、すそ野拡大

2008年05月05日

 連休の思い出は写真集に―。デジタルカメラで撮った画像をプリント、製本して写真集にするサービスが普及し始めた。写真専門チェーンのキタムラや富士フイルムイメージング(東京都港区)は、大型連休明けから夏までにサービスのラインアップを増やしてニーズを掘り起こす。DNPフォトマーケティング(東京都台東区)は、店舗向けに簡単な製本キットを発売し、店舗との取引を深めようとしている。各社のサービスと狙いを取材した。(米今真一郎)

 【キタムラ/全国1200店舗で展開】

 「今年は間違いなくフォトブック元年になる」とキタムラの子会社キタムラ商品開発(横浜市港北区)新商品開発部の村井和博氏は力を込める。キタムラは07年6月にフォトブックサービス「リフォットブック」を開始。縦121ミリ×横121ミリメートルの「ベーシックタイプ」と、縦121ミリ×横188ミリメートルの「アレンジタイプ」の2種類を全国1200店で販売している。客が用意する写真は、12枚以上から2枚単位で増やせる。枚数を固定した商品よりも自由度が高い。

 さらに6月には、携帯電話で撮った画像に文章を添えて送信し、一定の枚数がたまったら文章を並べて写真集にするサービスや、アニメのキャラクター「ポケットモンスター」をちりばめるサービスを始める。7月には印刷機で両面プリントし、銀塩写真カラーペーパー(カラー印画紙)と異なりページを曲げられる程度の柔らかさを持たせた写真集の提供を始める。埼玉県川口市にある自社工場で対応しており、他社サービスの取次店にならずに利幅を確保できるのが強みだ。

 【富士フイルム/ライバル出現を歓迎】

 「08年度はスタートダッシュの年。(フォトブックサービスは)市場の立ち上がり時期にあり、お互いに盛り上げようという意味でライバル歓迎だ」と富士フイルムイメージングの営業本部営業支援部製品マーケティンググループ兼支社支援グループの松林宏幸マネージャーは話す。富士フイルムイメージングは07年8月、印画紙で片面にプリントして製本するサービス「フォトブックスクエア」を開始。グループ会社の富士ゼロックスが手掛ける電子写真方式の大型印刷機を使って両面印刷する「フォトブックプレス」と合わせて展開している。さらにレイアウトを自在に楽しんで、お気に入りの“作品集”に仕上げられる「フォトブックデザイン」、印画紙で両面タイプの「フォトブックスタイル」を夏までに発売する。

 【大日本印刷/安価なキット投入】

 大日本印刷グループのDNPフォトマーケティングは、店舗がフォトブックをサービスラインナップに加えなければ今後は営業しにくくなると見て、低価格の製本キットを7月に発売する。店舗の従業員が20分程度で、写真を折って台紙を張り込み端を断裁して製本するキットだ。小規模の店舗では自動の製本設備を導入するだけの注文があるかは分からず投資に踏み切れない。従業員が簡単な作業をできるようにして、「まずはフォトブックサービスを当店でも出来ますよ、という体制にしてもらう」(舩曳靖男MD部長)のが狙い。キットの価格は14万円弱の予定。1年で300店、2年で500店に販売する計画。

 フォトブックを手掛ける企業は購入層が確実に存在しているとにらんでいる。現在60歳前後の「団塊の世代」と呼ばれる層は、企業や官公庁を退職して時間的に余裕を持ち始めている。孫に恵まれる年齢でもある。現在の一眼レフ販売の好調さは、この層が入門機や中級機を購入しているからにほかならない。そして何より、かつて「フィルムで写真を撮れば、すべて現像するもの」という記憶を持つ世代でもある。子の結婚式、孫の誕生や七五三、運動会、そして家族で出かけた新緑のゴールデンウイーク。写真業界は多くの人に夢を届けることができるか。今後サービスが定着するかはその点にかかっている。

 【業界団体/ニーズ取り込む切り札に】

 業界全体としてもフォトブックサービスを協力してアピールしようと動き始めた。日本カラーラボ協会の呼びかけに、富士フイルムやキタムラ、コダック、アスカネット、DNPフォトマーケティングなどから担当者が参集。統一名称やロゴマークを夏までに決めようとしている。フォトブックサービスが注目される背景には、カメラ専門店や写真のプリント店(DPE店)の事情がある。銀塩写真プリントに代わる収益の柱になったデジカメ写真プリントだが、単なるプリントだけでは客を引きつけられなくなってきた。

 富士フイルムの推計では、デジカメで撮影し保存した画像のうち、店舗や家庭でプリントされる比率は40%程度。ここ数年のデジカメの普及に伴い、撮影数(ショット数)の増加に伴って、プリントされる枚数は増え続けてきた。そのうち店舗でプリントされるのは半分程度。だが店舗プリントの総需要の伸びは鈍化し始めている。05年に前年比72%増の成長を記録した総需要は、06年に同20%増、07年に同22%増、08年目標では同12%増だ。

 店舗プリントの成長の鈍化は、デジカメに使うメモリーの容量が大きくなり、頻繁に店舗に持ち込まなくてもすむようになったためと見られている。さらに「家族に見せたいとか、ブログ(日記風簡易ホームページ)に載せたいとかいった、何々をしたいという自己実現の欲求を満たさなければならなくなった」(富士フイルムイメージングの松林氏)というデジカメ写真を撮る人の変化もある。写真集の作製サービスは、こうしたニーズを取り込む切り札ととらえられている。

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