東京大学大学院工学系研究科量子相エレクトロニクス研究センターのイエ・ジャンティン特任講師、岩佐義宏教授らの研究チームは、潤滑剤などに使われる二硫化モリブデン(MoS2)を材料にした電界効果トランジスタ(FET)を開発し、電気抵抗がゼロになる超電導を発現させることに成功した。超電導に移る転移温度を電圧によって連続的に変化させ、温度10ケルビン以下で確認した。成果は米科学誌サイエンスに30日掲載される。
開発したトランジスタの半導体材料に、自動車などの機械用潤滑油として使われるMoS2を採用。コンデンサーの電極間に挿入する絶縁体として電気二重層を用いている。研究ではゲート電圧を、0(ゼロ)から0・8、2、5ボルトと変化させ、同トランジスタの電子数を増やした。その結果、電気抵抗が1キロオーム、温度10ケルビンで超電導に転移したという。
低消費電力型トランジスタの材料には酸化物や有機物を中心に研究が進んでいる。その有力材料として炭素材料のグラフェンも検討されているが、スイッチング特性に限界がある。今回、グラフェンと同じ単原子膜材料のMoS2を使ったFETによる超電導の発現は、MoS2材料の用途拡大につながるものと期待される。