2008年4月7日
最近でいえば、食の安全・安心を揺るがした中国製冷凍ギョーザの中毒事件。そうした事件から身を守るには、信頼のおける情報が必要です。「頼りにしたい」と考えるのは、公的機関のウェブサイトのデータですが、アクセスのしやすさや検索機能の使い勝手に、不満を覚えたことのある方は多いのではないでしょうか。中央省庁のウェブサイトを「採点」してみました。(鈴木淑子)
■半分以上が「低い評価」
ウェブサイトで大事なのは、知りたい情報に容易にアクセスできるかどうかです。
経済産業省は04年、あらゆる人にとってサイトを使いやすいものにするための日本工業規格を公表しました。規格が基本的に求めたのは、視覚などに障害がある人でも、情報を適切に把握できるよう配慮することでした。
具体的に説明しましょう。最近のウェブページは、多くのタイトルやお知らせなどの重要情報が文字データでなく、画像データを用いて表現されています。それでは、音声読み上げソフトを使っても音声に変換されず、画像が読み込めない古いブラウザーを利用している人には、内容が何なのか分からなくなってしまいます。
情報をPDFのみで提供している場合も同じです。PDFを閲覧できないパソコンの利用者は、途方に暮れてしまいます。
そうした事態を防ぐため、サイト制作者は画像に盛り込まれた情報を文字データで表した「代替テキスト」を用意するよう求められたのです。
では、基本的な配慮が、どのくらい実行できているのでしょうか。
図表上は、コンサルタント会社アライド・ブレインズ(東京都千代田区)が、中央省庁のホームページについて「採点」した結果の一部です。
同社は独自開発のプログラムで、各省庁の全ページを調べたといいます。代替テキストの有無で「十分に対応している」と評価されたのは国税庁と裁判官訴追委員会。逆に、「対応が不十分なページが極めて多い」は文化庁、特許庁、参議院でした。
他の要素も加味したサイト全体の評価「到達レベル」は、半分以上の省庁が「D」判定以下でした。ABC順の評価で「D」以下は「対応が不十分だ」と考えられます。(インターネット調査会社ネットレイティングスがまとめた省庁の2月のアクセスランキング上位10サイトを取り上げた。電子政府の総合窓口は対象外で評価なし)
■サイト内検索の改善に期待
次に、サイト内の「データのありか」を知るための「検索」の使い勝手を比べてみましょう。
中国製ギョーザ事件以前は、あまり耳にすることのなかった「メタミドホス」をキーワードにして、試してみました。図表下が、3月17日時点の結果です。
総務省所管の「電子政府の総合窓口」トップページにある「情報を調べる」の「全府省ホームページ検索」で、「メタミドホス」と入力して検索すると、「厚生労働省/輸入食品等の食品衛生法違反事例」……と出てきました。
そこで目についた厚労省や農林水産省の情報が、両省のホームページで簡単に探し出せるか、サイト内検索を使ってチェックしました。
農水省では、一部タイトルのないものもありましたが「メタミドホスとは」などの情報が並びました。ところが厚労省の結果はタイトルのないPDFファイルがずらり。これでは、知りたい情報に、すぐにたどり着けないと言わざるを得ません。
なぜ、このような違いが生じるのでしょうか。ホームページを運営する各省の担当者の話を総合してみると、「検索エンジン」と呼ばれる機能の差にあるようです。
大事なのは、「いかに漏れを防ぎ、ノイズをなくすか」(総務省情報システム管理室)。つまり、本来必要な情報なのに検索エンジンで探し出せない事例を少なくし、不要なのに引っかかってしまう情報を減らすことです。
中央官庁はもちろん、民間のウェブサイトでも、今後の改善努力に期待したいところです。