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激化するブラウザー競争(上)

2008年10月27日

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 ウェブブラウザーは最も身近なアプリケーションソフト。多くの人はパソコン付属の「インターネット・エクスプローラー」をそのまま使っているでしょう。しかし今、グーグルやアップルなど大手が参入して、ウェブブラウザーの開発競争が激しくなっています。なぜそんなことが起きているのでしょう。また、どんな影響があるのでしょう。2回に分けて解説します。

■グーグルやアップルも”参戦”

 マイクロソフトの「インターネット・エクスプローラー(IE)」は、ウィンドウズに最初から組み込まれており、ほとんどのウェブサイトもIEで使われることを想定して制作されています。米国の調査会社ネットアプリケーションズの調査によれば、IEの市場シェアは72%弱と圧倒的です。

 しかしIEには、動作が遅かったり、カスタマイズ(機能や見た目をユーザーの使い勝手がいいように変更すること)がしにくかったりと、不満の声が多いのも事実です。

 ワープロや画像編集などに不満があれば、同様の機能を持つ別のソフトを追加して問題を解決できます。ブラウザーも同じこと。別のブラウザーを導入して不満を解決できます。

 これらのブラウザーは、インターネット上で、ほとんどが無料で公開されており、ダウンロードしてインストールするだけで誰もが自由に使えます。使ってみると、それぞれ特徴があることがわかります。

 例えば「動作が遅い」という不満があるならグーグルが配布する「クローム」を、カスタマイズに不満がある場合にはモジラ・ファウンデーションの「ファイアーフォックス」を使う、という選択肢があります。

 こうした違いがある理由は、各社の技術が異なることのほか、ブラウザーにとって何が重要かという考え方がそれぞれ違うためでもあります。

 IEがシェア1位を獲得した理由も昔の「ブラウザー戦争」を勝ち抜いた結果です。十数年前、インターネットが一般向けに使われ始めたばかりのころは「NCSAモザイク」や「ネットスケープ」などのブラウザーが主流で、IEは後発でした。しかしウィンドウズに最初から、しかも無料で組み込むなどの強い手段に出、さらに動作速度や使い勝手も高めたことで、利用者を増やしました。

■ウェブアプリ普及が背景に

 しかしネットは今も大きく変わり続けています。ブラウザーはその主要な舞台で、激しい変化に合わせた新たな要素が必要になっているのです。

 昔のウェブサイトに表示されていたのは、テキストや静止画などの情報が中心でした。しかし現在は、地図を画面上で自在に操作できる地図サービスなど、ブラウザー上でアプリケーションソフトのように動くサービスが急激に増えています。こうした「ウェブアプリ」と呼ばれるサービスをより素早く、より快適に使えるようにというニーズが増えています。

 グーグルが「クローム」を発表したのは、このようなニーズを満たすためです。同社はたくさんのウェブアプリを提供しており、その利用者を増やすには、自ら「ウェブアプリに最適なブラウザー」をつくる必要があると考えたわけです。

 別の理由でブラウザーが公開される場合もあります。現在は携帯電話やゲーム機など、パソコン以外の機器にブラウザーが組み込まれることが増えています。それらのブラウザーのパソコン版を公開するメーカーがあります。ブラウザーの知名度を上げ、パソコンでも携帯電話でも同様に動くサービスの開発を促すためです。一例がアップルで、同社の「サファリ」は、ウィンドウズ用とマック用があるほか、ほぼ同じ技術が、同社の携帯電話端末iPhoneに組み込まれています。

 マイクロソフトも黙って見ているわけではありません。新ブラウザー「IE8」の開発途上版が無償公開されています。「ブラウザー戦争」がふたたび始まりつつあるといえるでしょう。

 ではどう選ぶのか? 次回詳しく解説します。(ライター 西田宗千佳)

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