イランで忍術道場が人気との報道を目にした。暗殺者の養成かと一瞬ぎょっとしたがさにあらず、護身術として注目されているそうだ。襲われた時の反撃方法だけでなく、周囲に溶け込み、身を潜める方法も教えているのだろうか。
周囲に溶け込むと言われて筆者が連想するもののひとつが迷彩服だが、つい先日、迷彩服には想像以上にデジタル技術が生かされていることを知って感心した。米海兵隊の迷彩模様が、間近で見るとデジタル写真を拡大したときのような正方形のギザギザで構成されていることは以前から知っていたが、「費用節減のためにドットの粗いプリンターで模様付けしているのだろう」などと勝手に想像していた。しかし実際は「デジタルカムフラージュ」と呼ばれる手法で、迷彩の輪郭をわかりにくくすることでさらに周囲に溶け込みやすくする効果があるとのこと。さらに、活動場所の土壌・植生・建物などと同じ反射率で可視光や赤外線を反射するようになっており、肉眼はもとより、暗視装置を使っても見えにくい仕組みになっているという。
次世代の迷彩服は、表面の色が変えられる素材を使い、周囲と同じ色や模様にリアルタイムで変化するものが研究されている。友軍による誤射の防止や救助要請のために味方に見えている側だけ目立つ色・模様にしたり、危険が迫ると渦巻きが回る動画や激しい点滅で光過敏性発作を誘う「幻惑模様」を敵に見せたりするなど、これまでにはなかった工夫も考えられる。さらには、服を表示画面としてナビゲーションや戦況図、行動指示などの表示に使う案もあるだろう。アリゾナ大学環境学科のSagarin教授は、「危険を除去するのではなく、危険とともに生きるというのが環境に順応した生物の姿」と指摘し、墨を吐いて敵を煙に巻いたり、体表の色を変化させて周囲に溶け込んだりするタコの習性を例に挙げているが、近未来の迷彩服はタコの上を行く「スーパーニンジャ」を登場させるのかもしれない。

NTTデータのワシントン駐在員。公共部門に属する社員として、アメリカの電子政府先進事例を日本のIT立国に役立てるべく奔走中。幼少期から日米欧それぞれに8年以上の居住経験があり、その国際感覚を武器にグローバルビジネスを推進している。日本人初の連邦政府CIO大学修了者。FEAC認定エンタープライズアーキテクト。理学修士(ジョージ・ワシントン大学)。