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「クラウド」を見に行く IBM晴海センターのねらいは?

2009年12月4日

【動画】IBMクラウド・コンピューティングセンター

写真マシンルームの中のサーバー群。手前がクラウドのデモ機

写真施設について説明してくれた日本IBMの井上周一さん

写真部屋には巨大なエアコンが8台

写真マシンルームの中のサーバー群。すべてがクラウドに関連しているわけではない

 IT業界で流行する「クラウド」。一体何のことなのか、文字通り「雲をつかむような」概念だ。実物を見れば分かるかもしれないと思いたち、東京・晴海にある日本IBMの「クラウド・コンピューティングセンター」を見に行った。(アサヒ・コム編集部 藤坂樹理)

 300平方メートル足らずの部屋に、高さ2mを超える大型エアコンが8台稼動していた。黒いサーバーの筺体が、あちこちに林立する。近づくと冷却ファンの音がすさまじく、会話が聞き取れないほどだ。この部屋に入るまで、二重のIDチェックがあった。IBMの社員でも、入室を許されるのはごく一部という。

 「クラウドのデモンストレーション用に使っているのが、このサーバーです」。同センターの井上周一さんが指を差す先には、小さめのパソコン本体ほどの大きさのマシンが4台。その上に置かれたケースには、容量150GBのハードディスクが12個差し込まれている。裏側には電気のコンセントの差し込み口が2カ所。電源を二重にするのは、サーバーの基本らしい。

 パソコンがトラブルを起こすと、すぐにリセットして解決を図る私だが、「それが許されないのがサーバーです」と井上さん。24時間・365日動き続けるサーバーには、何よりも安定性が求められる。デュアルコアのCPUを積み、OSはリナックスだという。必要なソフトやデータはすべてサーバー側が用意し、ユーザーはネットワーク経由でサービスを使うというのが、クラウドの基本的な考え方。すべてをサーバーに置くのは不安を感じるが、年中フリーズする自分のパソコンより、プロが管理するサーバーの方が信頼できるかもしれない。

 実は、この「クラウド・コンピューティングセンター」というのは、IBM全体のコンピューター検証施設の一部をそう称しているものだ。「一部」といっても、この部屋とあの部屋といった物理的な特定はできない。クラウドの「機能」を果たしている部分を、いわば仮想的に「クラウド・センター」と言っているのだ。サーバーというのは、もともと仮想的なもの。1台のマシンに複数のサーバー機能があったり、複数のマシンが1台のサーバーのように見えている場合もある。このあたりを理解することも、クラウドを知る手がかりの一つらしい。

 センターの開設は2008年8月。日本で最初の「クラウド・センター」になった(現在はNECなども開設)。顧客を招き、システムの実証や研修をしてもらうのが最大の目的だ。IBMには米国に巨大なサーバー群があり、そこにアクセスさえすれば実は同じことができるらしいが、その方法は日本人の顧客には不評だったとか。

 「やはり実物が目に見えると安心感があるようです」。マシンルームはあえてガラス張りになっている。クラウドの時代に逆行するような感覚なのだが、「IBM」のロゴが光るマシンには、なぜかどっしりした安定感を覚えるのも確か。グーグルやヤフーが持つ一種の「軽さ」は、コツコツとモノづくりをしてきた日本企業のカルチャーとは距離がある。大型コンピューターで培った「ブランド」を最大限生かしつつ、クラウドの時代に遅れまいとするIBMのしたたかさを感じた1日だった。

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