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「海上の森」にニホンカモシカ 愛知県「初の目撃例」

2008年12月1日8時3分

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写真木立の奥から様子をうかがうニホンカモシカとみられる個体=22日、愛知県瀬戸市の「海上の森」、森島達男さん撮影

 愛知県瀬戸市の「海上(かいしょ)の森」に、国の特別天然記念物のニホンカモシカとみられる個体が姿を見せ、同県尾張旭市の会社員森島達男さん(58)が撮影に成功した。海上の森は、自然保護の象徴的な場。愛知県自然環境課は「海上の森での目撃例は初めてではないか」と話している。

 森島さんは「海上の森野鳥の会」の副代表。千回以上も森に足を運んでいる。22日の探鳥会でのことだ。約30人のメンバーと海上の森を散策していると、暗い木立の奥の尾根上に、静かにこちらをうかがう個体1頭が見えた。

 「こんなところにニホンカモシカがいる」。メンバーらが興奮ぎみに歓声を上げ、目を凝らすなか、20メートルほど先のニホンカモシカは2〜3分ほどその場にとどまったあと、背を向けて悠然と立ち去ったという。

 海上の森は、05年にあった愛知万博(愛・地球博)の構想当初のメーン会場だった。貴重な自然を残そうと会場が変更された経緯がある。

 愛知県自然環境課によると、県内ではニホンカモシカは70年代半ばごろまで主に奥三河の北設楽郡一帯に生息していた。特別天然記念物に指定されて手厚く保護されたことから個体数が増加。分布域が豊田市内や岡崎市内など西に向かって拡大し、05年度の県の調査では推定個体数は1477頭という。

 海上の森がある瀬戸市内でもこれまでに山間部では生息が確認されているほか、名古屋市内でも近年、東谷山フルーツパーク(守山区)周辺でも目撃例がある。

 同課は「生息域の拡大や海上の森の自然環境から判断すると、今回撮影された個体はニホンカモシカで間違いないと思う。太古の昔はともかく、初の目撃例だろう」と指摘。「森一帯をすみかとしているのかどうかまでは分からないが、森の中の広葉樹の若い芽などをエサにしているのだろう」と話す。

 森島さんの写真を見た東山動物園(名古屋市千種区)の獣医師も「特徴からニホンカモシカに間違いない。海上の森での目撃例は初耳で、興味深い」と驚く。「近くの山林から迷い込んだのかもしれず、海上の森が繁殖地として適しているのかどうかは一定期間見守らないと分からない」と話している。

 92年から森の散策を続ける森島さんは「ニホンカモシカが現れるようになったのは、森の豊かさの証明のようで喜ばしい」と話す。(本田直人)

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