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飛べないテントウムシ期待大 名古屋大、害虫対策に開発

2009年7月22日6時50分

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 飛べないテントウムシを人工的に作り出すことに名古屋大学の研究グループが成功した。羽の形成に必要なたんぱく質を作れないようにしたもので、飛べないことを除けば正常なテントウムシ。遺伝子組み換え技術を使っていないため、生態系へ与える危険もないという。21日付の英昆虫科学専門誌「インセクト・モレキュラー・バイオロジー」に発表した。

 様々な農作物の害虫アブラムシを食べるテントウムシは、化学農薬に代わる存在として期待が大きい。ただ屋外の畑では飛んで逃げてしまうため、「生物農薬」としては安定性が課題だった。

 名大生命農学研究科の新美輝幸助教と修士課程2年の大出高弘さんはまず、テントウムシの羽の形成に必要な遺伝子(ベスティジアル遺伝子)の特定に成功した。ショウジョウバエのベスティジアル遺伝子は91年に特定されたが、ほかの昆虫の特定には時間がかかっていた。

 新美さんらはさらに、RNA干渉という手法で、ベスティジアル遺伝子の働きを抑えるリボ核酸(RNA)を作成。テントウムシの幼虫に注射すると、羽の形成に必要なたんぱく質がつくられず、さなぎから脱皮するとごく小さな羽しかない成虫になることを確かめた。羽が小さすぎて飛べない以外は行動に異常はなく、アブラムシも食べるという。RNA干渉は遺伝子を操作していないため、このテントウムシの子どもは正常に羽がつくられる。

 ただ、羽のない背中がむき出しのテントウムシは可哀想という意見もあり、新美さんは「外見は同じで飛べないテントウムシもつくりたい」と話している。昆虫研究に詳しい岩手大学の鈴木幸一教授(昆虫バイオテクノロジー)は「農業の現場は、飛べないテントウムシを待っている。遺伝子組み換えではなく、より安全な方法を選んだところがこの研究の新しさだ」と評価している。(冨岡史穂)

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