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「セアカゴケグモ」生息域拡大、宅地に迫る 東海地方

2009年10月30日9時22分

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写真セアカゴケグモのメス。背中の赤い模様が特徴だ=名古屋市港区、山吉写す

写真セアカゴケグモが生息する側溝で駆除作業をする業者=名古屋市港区

 外来種の毒グモ「セアカゴケグモ」が、東海地方に生息域を広げている。すでに名古屋港や四日市港、その周辺部には定着しているとみられ、住宅地にも迫っている。命にかかわる恐れのある毒を持ち、大阪では市民の被害も出ているが、国や自治体の防除態勢が追いついていないのが実情だ。

 広大な土地に工場やタンクが立ち並ぶ名古屋市港区の工業地帯。駆除会社の社員たちが側溝の金属格子を次々と持ち上げ、ライトを当てる。鉄骨や側溝の陰に、不規則な形の巣を張ったメスのセアカゴケグモがいた。黒い体で、背中にネクタイのような形の赤い模様がある。社員は薬剤を吹きかけ、処理した。

 東海地方では、国営木曽三川公園や中部空港、名古屋港金城ふ頭などで見つかったことが知られている。愛知県や名古屋市は、発見場所や数をホームページで公表しているが、保健所を通じて把握できたものに限られる。「企業や個人が通報する義務はなく、全体的な広がりまでは把握できない」(愛知県健康対策課)という。

 駆除業者による愛知県ペストコントロール協会の大橋武定専務理事は「伊勢湾を取り巻く国道23号、247号周辺までほぼ定着していると考えられる。三重県桑名市では住宅地でも目撃され、目立つ模様から子どもがうっかり触るのではと心配だ」と話す。

 東海3県では、人的被害はまだ報告されていない。しかし、95年に全国で初めてセアカゴケグモが確認された大阪府では、今年の被害は12件。庭の掃除中や、庭先に置いたスリッパを履いた時にかまれることが多い。臨海部だけでなく、新興住宅地でも重機や建材に紛れ込んで侵入しているという。

 セアカゴケグモは外来生物法で「特定外来生物」に指定されており、国などが防除することになっている。ところが、環境省外来生物対策室は「国による防除には優先順位があり、セアカゴケグモは各自治体に防除してもらっている」。愛知県などによると、土地の所有者や管理者が駆除するのが原則で、自治体が駆除するのは公園など公共の場所に限るという。また、厚生労働省は外来生物法で主務官庁とされておらず、「毒グモについて特に保健所に指導はしていない」(地域保健室)のが現状だ。

 セアカゴケグモを長年調査している元大阪府立公衆衛生研究所主任研究員の吉田政弘・いきもの研究社代表は「物流ルートに乗ってまるで野火のように全国に広がっており、このまま放置すれば死者が出かねない。自治体と町内会が定期的に側溝掃除をするだけでも効果は大きい。国も早く省庁横断で防除に取り組むべきだ」と指摘する。(山吉健太郎)

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