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夏の道路を冷やせ カキ殻入りアスファルトで10度低く

2010年1月22日21時43分

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写真熱画像にはカキ殻入り舗装(左)と従来舗装の路面温度の違いがはっきりと出た=石黒教授提供、昨年8月17日撮影

写真朝日土木伊勢営業所の駐車場でカキ殻入り舗装(左)と従来舗装の路面温度を比べる実験をした=三重県伊勢市佐八町、石黒教授提供

写真遮熱効果抜群のカキ殻粉末を使った舗装工法を開発した朝日土木の秦社長(右)と山中さん=三重県四日市市、小若写す

 養殖カキ殻の粉末をアスファルトに混ぜて道路を舗装する工法を三重県四日市市の土木会社と三重大学が共同で開発した。夏場の路面温度は従来の舗装より10度以上も低くなるという。コンクリートに覆われた都市の高温化現象の緩和に生かせるのではと意気込む。

 開発したのは四日市市の「朝日土木」(秦純二社長)伊勢営業所長の山中正善さん(54)と三重大大学院生物資源学研究科の石黒覚教授(55)。

 この工法は、すき間のある粗いアスファルト舗装の上から、カキ殻粉末、セメント、水を混ぜた「セメントモルタル」を流し込み、振動をかけて浸透させる。昨夏、炎天下で路面温度を比較したところ、午後2時の時点で従来の舗装は60度まで上昇したが、カキ殻入りは48度だった。

 アスファルトは溶けにくく、長持ちする。路面を磨くと大理石のような風合いになり、景観美化の効果もあるという。費用は、従来の3倍ほどかかるが、公園の通路や歩道など景観重視の自然色舗装よりは1割ほど安いという。

 開発のきっかけは山中さんが2008年夏、同県の鳥羽市開発公社が肥料用に加工した養殖カキ殻粉末に着目したことだった。養殖業者から大量に出るカキ殻は一般廃棄物として処理されていた。「これを利用して何か新しい事業ができないか」と考えた。

 自身の水虫治療として湯に混ぜたりしたが、入浴剤の開発は薬事法の規制もあって断念。「魚礁になれば」と、カキ殻粉末入りのコンクリートブロックを作ったところ、ブロックが直射日光を浴びてもひんやりとしていたことに気づき、「アスファルト舗装に使えばヒートアイランド対策になる」と実験に乗り出した。

 石黒教授は、色が白っぽいため、日光の反射率が大きいのが温度低減の最大の要因とみる。太陽光の反射率を細かく分析したところ、波長が短く目には見えない近赤外線に加え、可視光線の反射率も大きいことがわかったという。そのため、路面に太陽光が吸収されにくく、従来の舗装と比べて温度が上がりにくいという。同教授は「地域資源の有効利用になり、環境にも優しい」と話した。

 現在、特許を出願しているが、公共事業の削減もあり事業化はこれからだ。秦社長は「景観を重視した公園の通路や散策道などに最適。『コンクリートから人へ』もいいがコンクリートもいいもんですよ」とアピールしている。(小若理恵)

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