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淀川、稚魚3年連続ゼロ 天然記念物イタセンパラ

2008年7月2日10時47分

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写真二枚貝(下)に産卵しようとするイタセンパラのメス(左)とオス(右)=大阪府提供

 国土交通省が淀川で続けている調査で、国の天然記念物「イタセンパラ」の稚魚が3年連続で1匹も確認できなかった。同省近畿地方整備局は繁殖支援のため、良好な河川環境が残る上流域(大阪府枚方市)で7月上旬、イタセンパラの産卵に欠かせないイシガイ科の二枚貝を放流する。

 イタセンパラは体長10センチほどで淀川や富山県の仏生寺川など限られた水域に生息し、寿命は1〜2年。95年に「種の保存法」の国内希少野生動植物種に指定されている。

 今年の調査は5月中旬から約1カ月間、淀川の川岸にある「わんど」と呼ばれる入り江約40カ所で実施した。調査は94年に始まり、稚魚数は約150〜約7800匹の間で推移してきたが、05年の約500匹を最後に見つかっていない。

 環境省によると、野生生物の絶滅の定義は原則として約50年間、信頼できる生息の情報が得られていない場合。近畿地方整備局の関係者は「調査対象は稚魚だけで、稚魚よりも動き回る成魚ならば、わずかでも残っているかもしれない。絶滅とは言い切れないが、極めて危険な状態」と判断している。

 淀川には70年代、イタセンパラが生息する天然のわんどが少なくとも100以上あったが、河川改修でほとんどが消滅。その後、人工のわんどが造成されたが、83年に淀川河口から10キロ付近の淀川大堰(おおぜき)が稼働し、環境が大きく変わった。水位が上がって本流の川幅が広がったまま変動がなくなり、イタセンパラが二枚貝に卵を産んだり、稚魚が育ったりするのに必要な浅瀬も激減。代わりにブルーギルなど外来魚が繁殖し、イタセンパラなどの在来魚が食べられているという。

 近畿地方整備局は河口から約33キロ上流で大堰の影響を受けない枚方市楠葉地区のわんどで産卵環境を整備する。関係者は「イタセンパラが好む水位変動がある。成魚がいた時に備え、産卵できる環境を少しでも早くつくりたい」と話している。(板橋洋佳)

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