飼育ケージに放され、落ち着いた様子を見せるトキ=9日午前7時41分、石川県能美市、いしかわ動物園提供
国の特別天然記念物トキの分散飼育地に選ばれた石川県能美市のいしかわ動物園で9日、新潟県佐渡市の佐渡トキ保護センターから移送されたつがい2組が専用ケージに放された。分散飼育は鳥インフルエンザの大量感染を防ぐことなどが目的。トキが佐渡島の外で飼育されるのは、2007年に始まった東京・多摩動物公園に続いて2例目となる。
2組のトキは8日午後5時半過ぎにいしかわ動物園に到着。暗い中で暴れてけがをしないよう、翌朝を待ってケージ内に放された。美馬秀夫園長によると、4羽とも健康状態に問題はない。2羽はケージ内の水場に入り、好物のドジョウを食べたという。
石川県は、本州最後のトキ「能里(のり)」が能登半島で生息していたことから、04年に分散飼育の候補地として名乗りを上げた。いしかわ動物園はホオアカトキなど近縁種を飼育し、繁殖に成功した実績などが評価された。トキは専用ケージで飼育され一般公開されないが、園内に新設する大型モニターでケージ内のトキの映像が公開される予定だ。(加藤藍子)