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魯山人絶賛のジュンサイ、再生 京都・深泥池、環境改善

2010年2月25日19時37分

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写真深泥池の水面を覆うジュンサイ=2009年6月、京都市北区、原知恵子撮影

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写真晩年の北大路魯山人

写真深泥池での除草作業の様子=京都自然史研究所提供

 京都盆地の北端に位置し、氷河時代の貴重な動植物が残る深泥池(みぞろがいけ、京都市北区)で、絶滅が心配された国の天然記念物のジュンサイやミツガシワなどの水生植物が復活し始めている。市の保全事業や地元ボランティアらによる外来種除去作業などで環境が改善された。京都自然史研究所の横山卓雄さん(72)は「名物だったジュンサイを、もう一度市民に味わってもらいたい」と意気込む。

 ジュンサイはスイレン科の水生植物で、5〜6月が最盛期。寒天状のぬめりに覆われた若芽が酢の物や吸い物など日本料理の食材に珍重される。深泥池のジュンサイは、美食家の北大路魯山人(きたおおじ・ろさんじん)(1883〜1959)に「どこのじゅんさいが一番よいかと言うと、京の洛北深泥池の産が飛切りである。これは特別な優品」と絶賛され、全国に知られた。1927年に水生植物群落が国の天然記念物に指定され、88年に動物も含めた生物群集に指定が拡大された。

 深泥池の水源は雨水と地下水。しかし、市文化財保護課によると、近くの浄水場の水が流れ込んだことなどによる水質の悪化や、水生植物アメリカミズユキノシタなど外来生物の影響で、70年代ごろから激減する種が相次いだ。

 ジュンサイも例外ではなかった。90年代後半までは地元の限られた人だけ採集できたが、5年前には絶滅が心配されるほどまで減った。市は97年に地元の地権者から池を買い取った。

 ところが、京都自然史研究所や地元ボランティアが定期的に外来種を除去し、市が2003年に水道水の流入を食い止める工事をして水質を大きく改善させたところ、ジュンサイが勢いを取り戻し、水面を覆うほどになった。

 定量的なデータはないが、同研究所の報告によると、08年の調査の際にジュンサイを一部刈り取ってもその後の生育に影響はなかったという。

 横山さんは外来種を除草した際、付随してとれたジュンサイを見て驚いた。「プルプルがいっぱいで見事だった。池のジュンサイは市民の財産。適切に管理すれば十分な量が採れるので、ぜひまた地元で食べてもらいたい」と話す。

 深泥池のジュンサイが再び地元の食卓にのぼるかどうかについて、天然記念物を担当する文化庁は「生物群集に与える影響が分からないと何とも言えない。今は調査や地元の議論を見守りたい」としている。(小坪遊)

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