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どんぐり銀行の季節だよ 払い戻しの苗木で緑化20年

2010年10月24日16時16分

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写真拾ったどんぐりを持ち寄った子どもたち=23日午後、神戸市須磨区、中里友紀撮影

写真どんぐりを預け入れ、笑顔で通帳を受け取る子ども=23日午前、神戸市須磨区、中里友紀撮影

写真各地のどんぐり銀行の通帳。「ご入金」ならぬ「ご入ドングリ」の記帳欄がある

地図拡大全国の主などんぐり銀行

 超低金利が続く中、年10%と破格の利子がつく銀行がある。その名は「どんぐり銀行」。実は、子どもが拾い集めたどんぐりを預けると翌年以降に苗木として「払い戻し」をしてもらえる緑化運動だ。約20年前に香川県で始まり、全国各地に根付いた。さあ、今年も預け入れの季節がやってきた。

 「どんぐり拾ってきました」。神戸市の地下鉄・総合運動公園駅・駅前広場に10月23日、ドングリ銀行神戸の一日窓口が開かれると、同市西区の中川理穂さん(11)、拓人君(8)姉弟が預け入れに訪れた。理穂さんは「こんなに拾ったのは初めて。来年苗木をもらえたら、ベランダで育てます」と笑顔をみせた。

 1995年の阪神大震災がきっかけで、民間団体のドングリネット神戸が始めた秋恒例の緑化運動だ。被災は免れたものの、多くの木々が復興のために切り倒された。造形作家のマスダマキコさん(50)らが「子どもたちに楽しんでもらいながら緑を増やしていこう」と、この年から活動を始めた。

 預け入れる「通貨」の単位は「ドングリ」。クヌギやアベマキなど大きなものは一つ10ドングリ、小さなコナラやウバメガシは1ドングリで、預入額を本物そっくりの通帳に記入してくれる。100ドングリ預けると翌年の通帳上は110に増やしてくれるため、年利10%の計算だ。

 集まったどんぐりはスタッフの手で苗木に育てられ、翌年以降、100ドングリにつき苗木1本を払い戻してくれる。これまでに払い戻されたり、会で植えたりした苗木は6万本に及ぶ。

 さきがけは香川県だ。県西部林業事務所長の松下芳樹さん(54)が92年、「すぐに効果が出る森林保全ではないけれど、自然との触れ合いを通じて森を守る大人に育ってもらえれば」と発案。まかれたタネは高知県大川村にも飛び、96年に「どんぐり銀行大川村」が始まった。

 これにスタジオジブリのキャラクターグッズ店などを経営するベネリック(東京都港区)が賛同。全国のショップ「どんぐり共和国」など約40カ所に「銀行出張所」の看板を掲げ、預かったどんぐりを大川村に届けている。

 今秋には、兵庫県芦屋市にも「どんぐり銀行ASHIYA」がオープンした。

 預けられたどんぐりは、すべてが苗木になるわけではない。大分市の「みどりの夢銀行」の場合、昨年預け入れられた140万個のうち苗木として育てたのは1万個。2万個を工作などに利用し、残りは埋め立てを終えた産廃処分場にまいて自然な形での緑化を目指すほか、ブタのえさにもしてフンは農地にまく。

 香川では採りすぎを防ぐため、預け入れを1人年間5千ドングリに制限している。運営母体は自治体や民間など様々。「利率」にも幅がある。

 和歌山県の「かしの木バンク」事務局によると、今年は猛暑のせいか「どんぐりが少ない」という声が寄せられているという。担当者は「どんぐりはクマやイノシシのエサでもあり、集めるときは十分に気をつけて」と話している。(松尾由紀)

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