豪華な包装でひときわ目を引く「佐賀海苔有明海一番」=福岡市中央区の岩田屋、小浦写す

有明海の隣り合わせの海域で養殖し、全国1、2の生産量を誇る佐賀、福岡産のノリで、価格差が広がっている。生育環境に大きな違いはないが、全国最高級のブランドづくりや品質をそろえる集団管理を組織的に進める佐賀側が時代にマッチして一歩リード。一方、生産者個々の職人技で勝負してきた福岡側は、新たな取り組みを模索する。
福岡市の百貨店「岩田屋」の食品売り場。佐賀産の最高級ブランド「佐賀海苔(のり)有明海一番」が並ぶ。縦21センチ、横19センチの全形20枚で税込み1万500円。1枚当たり500円と、全国トップ級の売値だ。今夏の中元商戦に初めてお目見えし、岩田屋全体で約200セット売れた。
色つやが良くて口に入れるとふわっととろけ、ノリ特有の香りが強いという。食料品営業部バイヤーの佐藤克美さん(36)は「値段には驚かれるが、本物志向の方が首都圏へ発送されることが多い」と話す。
「一番」は佐賀県と県有明海漁協(佐賀市)がつくる「新うまい佐賀のりつくり運動推進本部」が昨季、新たにブランド化した。
まずは、県内約1100人の生産者に対し、最も優れたノリを一箱(3600枚入り)ずつ出すよう呼びかけた。そして、一般から募った「味覚検査員」33人が品質をチェックし、145箱を厳選した。県産ノリ全体のわずか0.03%だ。入札の最高額は1枚300円。92年の230円を上回り、佐賀産の史上最高値がついた。
同漁協の門田日出雄・業務部長は「佐賀ブランドとして定着させ、全体の価格、品質アップにつなげたい。生産者の意欲も高まる」と話す。今季は200箱を選ぶ計画だ。
一方、福岡産の入札最高額は01年の138円だ。独立行政法人、水産総合研究センター西海区水産研究所によると、佐賀、福岡沖で生育環境に大きな違いはないという。 ただ、作り方は異なる。「団体戦」対「個人戦」だ。佐賀は67年の凶作後、集団管理を積極的に採り入れた。養殖網の高さを調節し、ノリを日光に当てる時間をそろえることで、一定の品質を確保しやすい。対する福岡は、生産者がそれぞれの技術を生かす。「名人」が高品質のものを作る半面、全体の出来にばらつきが出るという。
かつては贈答品の代表格だったノリの用途も、近年はコンビニのおにぎり用などの需要が増大している。品質がそろうノリを大量に買い付けたい商社には、佐賀産の方が好評で、1枚の平均入札価格も近年、佐賀産がじわりと差を広げている。
福岡側も手をこまねいているわけではない。福岡県有明海海苔共販漁連(柳川市)と県、沿岸自治体で06年、ブランド化推進委員会を立ち上げた。県産ノリ全体のブランド名を「福岡のり」とし、キャラクターやロゴマークを決め、都市圏でのPRなど様々な取り組みを展開し、底上げに努める。
高級ブランドについて、黒田忠記・同漁連会長は「佐賀と同じことをしても二番煎(せん)じになるだけ。消費者は色、形より味だと思う。味や旬にこだわり、独自のブランドを検討していく」と話している。(小浦雅和)