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沖縄の豚「アグー」、本土との架け橋に 上野で公開へ

2008年11月10日7時27分

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写真上野動物園で展示されることになったアグー=沖縄県沖縄市の沖縄こどもの国

 沖縄の在来の黒い豚「アグー」が東京の上野動物園で飼育、展示されることが決まった。7日に空路で上京し、今月中にも公開が始まる。アグーは料理だけでなく、祭りや儀式など沖縄の暮らしに欠かせない存在。関係者は「沖縄文化の使節になってほしい」と期待している。

 展示されるのは「沖縄こどもの国」(沖縄市)と県立北部農林高校(名護市)が飼育しているアグー2匹。「アヨー」と呼ばれる白黒まだらの在来豚1匹とともに同動物園に貸し出す。アヨーも沖縄在来の豚だが、詳しい出自は分かっていない。

 検疫などで問題がなければ、今月下旬から来園者が直接、動物に触れるコーナーで公開される予定だ。沖縄文化とのかかわりをテーマにした企画展示や講演会なども計画されている。

 上野動物園は2年ほど前から、木曽馬(長野県、岐阜県)や野間馬(愛媛県)など在来種の家畜の収集、保護に力を入れており、その一環として、こどもの国に提供を依頼した。田畑直樹副園長は「在来種の家畜は、それぞれの地域の人間社会と密接な関係を持ってきた貴重な文化財産だが、多くが絶滅の危機にある。野生の動物だけでなく、家畜の保護も動物園の務めだ」と話す。

 アグーは約600年前に中国から伝わった豚が起源とされ、小型で霜降りの割合が多いのが特徴。戦前は家庭でも飼育されていたが、戦後、本土や米国などから生産性の高い白豚が持ち込まれるとともに激減。81、82年に名護市の名護博物館が調べた時には県内に約30匹しかいなかった。

 博物館が18匹を集め、その後、北部農林高校などが少しずつ増やしてきた。最近では「幻の豚」と観光客から人気を集めているが、大部分は西洋豚を掛け合わせた豚の肉で、「こどもの国」の担当者の話では、現在も純粋なアグーは百数十匹という。

 アグーの調査をした時の名護博物館長で、琉球在来豚アグー保存会の島袋正敏会長は「誰もアグーに目を向けなかった時代を思うと、感慨深い。年中行事や祭りなど暮らしのあらゆる面にかかわってきたアグーを通し、言葉や工芸、芸能など様々な在来文化に目を向けるきっかけになってくれれば」と話している。(後藤啓文)

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