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電気自動車で五島列島巡り 100台導入、集客に期待

2010年9月8日14時23分

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写真急速充電器(右奥)で電気自動車を充電する=五島市三井楽町浜ノ畔の遣唐使ふるさと館

 五島列島に今春、地元ならではの情報を発信できる高機能カーナビ(ITS)を搭載したレンタカー用の電気自動車(EV)100台が導入された。地元の市町などでつくる協議会が業者に貸し出す。県は事業に2年間で約12億円を予算計上し、「EVは地球温暖化防止につながり、集客力もある。ITSとの組み合わせで新しい観光の形態を構築できる」と意気込む。効果はどの程度期待できるのか? 記者も五島市の福江島をめぐってみた。

■坂道、パワー十分

 EVは、五島市内で最多となる20台を導入した「レンタカー椿(つばき)」(橋本洋子代表)で借りた。利用料は24時間で6千円程度と、ガソリン車と変わらない。

 福江島は一周140〜150キロなのに対し、EVは最大160キロ走れると聞いていた。だが、「起伏やエアコン使用量によって距離は変動する」と聞き、不安になった。

 不安を打ち消すように、橋本代表は「初心者の走行距離の目安は100キロ前後。途中1回の充電で安心して乗れます」と教えてくれた。コースを、島の北東部にある県指定有形文化財の堂崎教会から島北部を経由し、大瀬崎灯台をめぐる約90キロに決めた。

 ガソリン車のキーにあたるノブを回すと、モーターが回転し始めたが、ガソリン車のようなエンジン音や振動が無くて驚いた。アクセルを踏み込むと、普段乗っている車より勢いよく飛び出した。心配だった上り坂でもパワーは十分だ。

 ただ、上り坂では電気を食うためか、充電残量と共に表示される「残りの走行距離」が急激に減った。下り坂ではギアを切り替え、減速中に充電できる「回生ブレーキ」を活用した。これで走行距離が増える半面、普段はオートマチックのガソリン車に乗っているため、頻繁な切り替えが面倒とも感じた。

■時間かかる充電

 出発してまもなく、ITSからは、石田城跡を知らせる音声が流れてきた。車を止めると、画面に城跡の写真や説明文が現れた。ガイドブックがなくても名所を知ることができて便利だ。

 50キロほど走ったところで充電残量が半分を切り、急速充電器を利用した。セルフ方式のガソリンスタンドの要領で、専用のカードをかざし、ノズルを車体後部の差し込み口にいれる。慣れれば簡単だろうが、初めてのため、差し込み方を2回間違えた。ノズルは重く、女性やお年寄りには負担になるのではないか。

 しかも急速充電では80%までの充電しかできず、時間も20〜30分かかる。1カ所に2基しかなく、充電のための待ち時間は短期滞在の観光客にはもったいない。スタンドのひさしも狭く風が強い日は雨が吹き込み、夜間は電灯がなく真っ暗になる場所もある。

 半面、効率的な運転方法を考えるきっかけにもなった。計器盤には「Eco」と「Charge」という表示があり、アクセルをゆっくり踏めば目盛りが「Eco」を差す。減速すれば、回生ブレーキで充電していることが目に見える。省エネ運転すれば走行距離も延びるというわけだ。橋本代表は「ガソリン車と違って環境のことも考えながら乗れる」と話す。

■充電施設の増加求める利用者も

 利用者や地元には戸惑いの声もある。福岡県から来た男性(63)は「いつ充電がなくなるかこわごわだった。もっと充電施設があれば」。埼玉県の公務員竹迫明日香さん(25)は「ITSも地元の情報が少なく、道路が表示されない地域があり困った」という。五島市内の40代の男性は「静かすぎてバックする時に車に気づかない人がいて、こわかった」と話した。

 EVの普及でガソリンの需要が減ると懸念する声もある。ガソリンスタンド業界は「経営を圧迫される」と、県に苦情を伝えている。

■利用、5カ月で1300件超

 県EVプロジェクト推進室によると、今年3〜7月のEVレンタカーの利用件数は1369件。4月に8.6%だった稼働率は7月に22.4%となり30%台のガソリン車の利用に近づいたという。同室は「おおむね好調な出足」と評価している。

 五島市によると、今年4〜7月のガソリン代の相場は1リットル165円前後で、EVの方が燃料代の負担は軽くてすむ。熊本から来た母親をEVで案内した五島市の公務員福島和秀さん(41)は「また利用したい」と話す。(渡辺洋介)

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