洞爺観光ホテルを背後に、今後の温泉街について語る三浦和則社長=9日、北海道洞爺湖町
地球環境をどう守るかが大きなテーマの一つだった北海道洞爺湖サミットが9日、終わった。会場が決まってから1年余り。火山と湖とともに生き、サミットを見守った洞爺湖町の人たちにも変化があった。
洞爺湖温泉街にある創業66年の老舗(しにせ)「洞爺観光ホテル」。131室、従業員80人を抱えるこのホテルの三浦和則社長(44)は6月末、冷房用に湖の水を使い始めた。
水深35メートルからくみ上げる水の温度は、年間を通じて5〜6度。冷気はロビーや宴会場など約3千平方メートルに流れる。電気と比べ、年に100トンの二酸化炭素削減につながる。このために5千万円を投資した。「自然の中で商売している以上、環境に配慮しなければ」と思い切ったという。
同温泉街の裏手には標高737メートルの有珠山がある。この100年に4度火を噴き、00年の噴火では4カ月間の休業を余儀なくされた。80万人前後だった温泉街の宿泊客数は、噴火で30万人に激減。昨年度は74万人まで戻ったが、15年前に28軒あった旅館・ホテルは20軒に減った。
その中で、昨年4月、洞爺湖サミットの開催が決まった。さびれかけた温泉街の起爆剤になると思った。
サミット開催に向け、町民のエコロジーへの関心は高まった。三浦社長も近い移動には車より自転車を使うようになり、車に乗るときはアイドリングストップを心掛けた。
洞爺観光ホテルも約2カ月前から、飲食店組合に誘われ、客が使った割りばしを回収している。3膳(ぜん)が、はがき1枚分になるからだ。
しかし、サミット前、温泉街を歩く客の姿が減った。交通規制などが敬遠され、ツアーのルートから外されたからだ。観光業者からは「期待外れだった」と嘆きも漏れた。
しかし、三浦社長は、サミットの影響で「洞爺湖」は確実に全国に広まったと思っている。「美しい自然に魅せられ、先祖はここに移り住んだ。この洞爺湖の環境を守っていきたい」と言った。(峯俊一平)