福田首相は9日、地球温暖化対策に関する4大臣会合に出席し、自身が旗を振った低炭素社会づくりに向け、次期政権でも各省が積極的に取り組むよう念押しをした。その試金石となる国内排出量取引制度の10月からの試行も確認した。だが、制度づくりには課題も多く、うまく滑り出せるかどうかは不透明だ。
「政府の大方針だ。どなたが総理大臣になっても地球温暖化への取り組みは変わらない」。町村官房長官は9日の記者会見で、福田内閣が閣議決定した行動計画に従って、次期政権も温暖化対策を推進するとの見通しを強調した。
国内排出量取引制度の試行は、北海道洞爺湖サミットで指導力を発揮するため、首相が6月に発表した温暖化対策の包括提案(福田ビジョン)の目玉。首相は産業界の慎重論を押し切り、開始時期を10月と定め、関係省庁に準備を指示した。
大企業に温室効果ガスの排出量の上限を設定し、過不足分を売買する「キャップ(排出上限)&トレード(取引)方式」を中核に、先進国が途上国のガス削減を支援する京都議定書の「クリーン開発メカニズム(CDM)」や、経済産業省主導で新設する国内の大企業が中小企業の削減を支援する「国内CDM制度」をも組み合わせた「統合市場」を目指す。
内閣官房を中心とする政府の検討チームはキャップ&トレード方式に多くの企業の参加を促すため、(1)排出上限は自主的に参加する企業が設定(2)排出上限を超える場合も罰則は定めない、との方向で検討を進めてきた。
だが、ガス削減の義務化を懸念する産業界は、「国内CDM」はグループ企業の省エネに役立つとして支持する一方、キャップ&トレード方式の排出枠を現行の自主行動計画の目標達成に繰り入れることには慎重で、制度が十分に機能しない可能性がある。
斉藤環境相は4大臣会合後の会見で「キャップ&トレードの練習という趣旨が薄まると、試行の意味がなくなる」とクギをさした。
一方、京都議定書に続く国際枠組みをつくる交渉で最大の争点となっている、20年や30年時点の温室効果ガス削減の中期目標。首相は来年中に日本自身の目標を明らかにする考えを表明し、行動計画にも明記した。
首相は4大臣会合で「日本が提案した(産業別に削減可能量を積み上げる)セクター別アプローチに基づいて中期目標を設定し、ポスト京都へと世界をリードしていかなければいけない」と強調したが、中期目標の算定作業は暗礁に乗り上げており、次期政権はこの点でも、重い課題を背負うことになる。(村山祐介、餌取稔也、稲田信司)