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犬ブルセラ症、感染広がる 流産の病気、検査義務なく

2008年10月16日15時4分

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 犬が流産などを繰り返す感染症「イヌブルセラ症」の集団感染がここ数年、各地の繁殖施設で相次いでいる。検査の義務や規制は特にないため、業者任せの対策はどうしても後手に回る。専門家は「業界全体で感染を減らす努力が必要なのに……」と気をもんでいる。

 「どこから感染したのか……」。東京・五反田と千葉・浦安でドッグカフェと犬のホテルを経営していた男性(43)は肩を落とした。

 レンタル向けに飼っていたオス犬と交配したメス犬が8月末に流産した。2度続いたので気になり、東京と千葉の店で飼っていた62頭を調べたところ、18頭からブルセラ症の陽性反応が出た。

 結果を地元の保健所に報告し、今月3日までに両店を閉めた。犬はすでに隔離しており、これから治療する。経営者は「浦安の店は5月にオープンしたばかりだったのに」と悔やみきれない様子だ。

 国立感染症研究所(東京都新宿区)によると、集団感染は、静岡、沖縄、大阪、愛知の各府県で報告されている。大阪では繁殖業者が犬の所有権を放棄し、139頭が安楽死処分となった。この処分に愛護団体などが反対したことで注目を集めた。

 人への感染も99年以降9件明らかになっている。今年8月には、名古屋市のペットショップで死産した犬の赤ちゃんを2人が素手で触って感染し、うち1人が入院した。

 しかし、繁殖業者の関心は高まっていないのが現状だ。関東地方のある繁殖業者は「検査すべきだと思うが、費用の問題がある。狂犬病の注射すら受けない業者も多いなかで、致命的ではないブルセラ症への対策は今の業界では無理だろう」と打ち明ける。

 インターネットの交流サイト「獣医師広報板」を主宰する大阪市の獣医師、川村幸治さんは「繁殖や売る前に検査して『ブルセラ症ではない』と証明書を付けるべきだ」と話す。獣医師らで意見交換し、政府や業界団体などに要望書を送ったが、反応はなかったという。

 感染研獣医科学部の今岡浩一室長は「発生時に施設が受けるダメージは大きい。市中に感染犬を出さないためにも、業者は検査し、菌を施設内に入れないようにすべきだ」と指摘した。(見市紀世子)

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