麻生政権では初めての地球温暖化問題に関する懇談会が20日、首相官邸で開かれ、2020年や30年を目安とする温室効果ガス排出削減の中期目標を定めるため、研究者らによる検討委員会の設置を決めた。また国内排出量取引制度を予定通り10月中に試行し、参加企業の募集を21日にも始めることを確認した。
首相は冒頭、「低炭素社会を世界に先駆けてつくることが肝心。温暖化対策は単なるコストではなく、将来への投資になり得る」と発言。福田前首相による温暖化対策の包括提案(福田ビジョン)を継承し、省エネ技術など日本の強みを生かした対策を加速する意気込みを示した。
福田路線継承の表れといえるのが、懇談会の分科会として設置を決めた「中期目標検討委員会」。座長には、経済運営に詳しい福井俊彦・前日本銀行総裁を据えた。
政府は、13年以降の国際枠組み(ポスト京都議定書)をめぐる交渉の最大の焦点である中期目標を、来年中に公表する方針。検討委では、日本が提唱した産業部門別にガスの削減可能量を積み上げる「セクター別アプローチ」などを活用し、複数の目標値を提示した。目標達成のための費用負担も試算。欧米や中国など新興国についても同様の手法で分析する。
一方、企業が排出量の削減目標を設定し、過不足分を取引する国内排出量取引制度の試行については、福田政権末期の懇談会分科会で示された原案を踏襲し、企業の「自主性」に配慮した。試行への参加は企業の自主性に委ね、削減目標は企業側が自主的に定める。目標が達成されない場合でも、罰則は科さないこととした。
また同制度では、個別企業の責任を明らかにして削減努力を促すため「原則として業界団体での参加は認めない」としたが、業界団体としての参加を希望する鉄鋼や電力については、例外扱いを認める道を残した。懇談会座長の奥田碩・トヨタ自動車相談役は20日、「(大排出業界の)鉄鋼や電力も暗黙のうちに参加するという前提で会合に出席している」と述べ、両業界が参加に条件付きで同意しているとの見方を示した。
首相は今月7日の衆院予算委で、民主党の地球温暖化政策を仕切る岡田克也氏に「(ガス削減の日本の長期目標である)2050年に60〜80%削減という福田首相時代の認識は共通しているか」と問われた際、「60〜80? 25〜40じゃない? 違う?」と知識不足を露呈していた。首相周辺は20日の懇談会での首相あいさつを「環境版の所信表明演説」と位置づけていたが、新たな具体策は打ち出せなかった。(餌取稔也、村山祐介)