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マダガスカル島、乱開発に傷むバオバブ 地球異変

2009年4月19日1時46分

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 「30番」と名づけられた巨木が倒れた。

 樹皮をはがされた無残な姿が草地に横たわる。残った記録では、高さ19.5メートル、幹回り7.2メートルあった。樹齢は推定で100〜200年。1月に襲ったサイクロンの強風で根元から折れた。

 この巨木はバオバブの木。ずんぐりとした幹、根のような形をした枝が伸びる。サンテグジュペリの名作「星の王子さま」に、小さな星を埋め尽くす木として登場する。

有名な「バオバブ並木」は、マダガスカル島西部のムルンダバ郊外にある。「30番」は、その一画の1本だった。

 「04年以降だけでも大きなバオバブは20本ほどが倒れた」と地元の環境保護団体ファナンビーのラウニンツアさん(50)は話す。

 監視活動を昨年から始めた。並木を取り巻く320ヘクタールにある313本の「戸籍簿」を作った。1月のサイクロンで倒れたのは計4本。

 「並木」ができた背景に農地開発がある。近辺では畑や水田をつくろうと森林に火を放つ。バオバブは丈夫な樹皮に覆われ、乾期に耐えるように内側に水分を蓄えている。周辺が燃えても、バオバブの大木は生き残ってきた。

 ところが、バオバブを長く研究してきた東京農業大の湯浅浩史教授は「無傷の木は数本しかない。並木は、数十年で消えてなくなるのではないか」と心配する。

 木を支える丈夫な樹皮は、屋根の材料やロープ、薬などに使われる。昔は少しずつだったが、開発とともに増えた住民がぐるりとはがす。農地に使う水で根腐れも起きやすい。種が芽生えても牛などの家畜が食べてしまう。バオバブの次世代が育っていない。

 世界自然保護基金(WWF)は、マダガスカルの森林は05年までの5年で1割減り、原生林は10%を割ったとする。(ムルンダバ〈マダガスカル西部〉=黒沢大陸)

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