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海の外来生物、76種侵入 37種は定着、遅れる法規制

2009年8月12日15時10分

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写真外来種の黒い二枚貝にびっしり覆われたくい=7月25日、観察会があった東京湾の京浜運河、山本写す

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 日本に侵入した外国原産の海の生物は少なくとも76種にのぼり、このうち37種は完全に定着していることが、岩崎敬二・奈良大教授(動物生態学)らの調査で判明した。国際自然保護連合(IUCN)が「世界の侵略的外来種ワースト100」に指定したムラサキイガイも含まれる。だが、カニの一部を除き、法規制の対象となる「特定外来生物」に入っておらず対策が遅れている。外来種は貴重な生態系を破壊する恐れがある。

 調査は、日本の沿岸海域などに侵入し、論文で報告された外来種が対象。100人を超す研究者が協力し、7年かけてデータをまとめた。76種に加え、さらに20種以上が追加される可能性がある。

 外国から日本の海に入り込む外来生物の種数は60年代以降に急増、毎年約1.3種のペースで増え続けている。分類別ではカニなどの節足動物(24種)が最多で、次いで二枚貝などの軟体動物(18種)が多い。

 地中海などが原産のムラサキイガイの場合、真珠養殖用のアコヤガイやカキの殻を覆うように付着し、成長を妨げたり死滅させたりする。また、火力発電所の取水管に付着し、取水を妨げるケースもある。東京湾では近年、この貝の仲間で性質がよく似た「ミドリイガイ」も繁殖が目立つ。

 80年代に日本に入り込んだチチュウカイミドリガニも繁殖を繰り返している。このカニを調べている横浜国立大の小池文人教授は「海中は人の目が届きにくい。いったん広まってしまうと駆除事業などを行うのが極めて難しい」と危機感を訴える。

 入り込んだ主な原因は、船舶に付着したり、船が重量調整に使うバラスト水に混じったりして運ばれたケースが29種。養殖などのため海外から意図的に運んだのは28種で、輸入したものが逃げ出すなど非意図的だとみられるのは15種だった。新しく入り込むのを防ぐ手立てが必要だ。

 05年に施行された外来生物法では、ブラックバスなど96種類が「特定外来生物」に指定され、輸入や飼育などが原則禁止された。しかし、こうした法規制は、陸上や淡水の生物が中心だ。幼生期を海ですごすモクズガニ類を除き、海の外来種は指定されていない。環境省によると、陸上に比べて情報不足が指定の壁となり、貝類のミドリイガイ、魚類のタイリクスズキなど一部の種類を法的な規制がない「要注意外来生物リスト」に加えるにとどまっている。

 日本プランクトン学会など国内の3学会は、海の外来種の実態を把握し、生態系への影響を探る専門の委員会をつくり、10月に北海道函館市で第1回の会合を開く予定だ。(山本智之)

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