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逃げ続けて70年 タイワンザル・リス伊豆大島で大繁殖

2010年1月4日23時41分

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写真タイワンリス

写真島内のあちこちで見られるタイワンザルの群れ=東京都大島町、池田写す

 伊豆諸島の大島で、台湾原産のタイワンザル、タイワンリスが大繁殖し、住民を悩ませている。もともと、島にはサルもリスもおらず、1930年代半ば、地元の動物園から逃げた群れが野生化したとみられる。長年駆除が進まない間に、サル20匹が4千匹近くに、リス30匹にいたっては数万匹と、もはや数えられないほど増えてしまった。特産のアシタバやツバキの実などの被害も深刻化している。

 「サルのえさを作っているようなもんだね」。大島町元町北の山の和泉参郎さん(78)は、タイワンザルに荒らされた畑を指さしつぶやいた。収穫期のハヤトウリが地面に散らばり、サルが食い散らした傷がついている。サルは20〜30匹の群れで、週1回のペースで山からやってくる。島の名物アシタバは、若芽を食べ、根っこをほじくり返す。「さあ収穫という時にやられるから立ち直れない」

 タイワンリスの好物は、島特産のツバキ油の原料となるツバキの実。熟す前の若い実をかじっては、木の下に落とす。ツバキ油を製造する同町元町の高田製油所・高田義土社長は「リスがいなければ、油の生産量は倍になるはずだ」と推測する。

 サル、リス繁殖の原因は戦前にさかのぼる。35年、島内の動物園からタイワンリス約30匹が、39年ごろタイワンザル20匹が逃げたと伝えられている。野生化したサルやリスは生息域を広げた。都の06年の調べでは、サルは最大で3750匹。リスは計数不能としている。農産物の被害は、07年はサルが374万円、リスが231万円になった。

 島の生態系への影響も心配される。リス類の生態に詳しい森林総合研究所多摩森林科学園の林典子・主任研究員は「鳥の巣を狙って卵を食べるので、鳥類の生息が脅かされる可能性もある」と話す。

 タイワンザルとタイワンリスは防除の対象だ。島民から駆除の要求が強まったのは、農作物被害が目立ってきた00年ごろ。一方で、駆除の主体となる町の経費は乏しく、対策が進まなかった。都は08年度から、毎年補助金約2900万円を町に出して駆除を開始。地元ハンターらと協力し、駆除数はサルが07年の333匹から08年に443匹に、リスは7336匹から9680匹に増えた。都は5年間で撲滅を目指すという。(米沢信義、池田良)

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