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大雪の原因、北極発の寒波 「30年に一度の異常気象」

2010年3月18日9時4分

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 この冬、北半球の各地を襲った大寒波。国内でも日本海側の各地がたびたび大雪に見舞われた。原因は北極圏の寒気が中緯度地域に流れ込む、地球規模の「北極振動」という現象だった。気象庁の検討会は「30年に1度の異常気象」とする見解をまとめ、詳しい分析を進める。

 「めったに断言しないが、今年は異常気象と言える」。今月3日、専門家でつくる気象庁の「異常気象分析検討会」で会長を務める木本昌秀・東大教授は記者会見でそう語った。

 この冬、米国東部や欧州、中国、韓国など、北半球のほぼ全域が強い寒気に包まれた。たびたび大雪に見舞われた米・ワシントンでは2月に積雪量が約141センチとなり、過去最高だった1898〜99年の約138センチを上回った。温暖な気候で知られるフロリダ州オーランドでは1月に零下4.4度を記録。欧州では異常低温による凍死者が続出し、韓国・ソウルでは1月に1937年の観測開始以来、最高となる約26センチの積雪を記録した。

 一方、日本は寒暖の差が激しい冬になった。平均気温は平年を上回ったが、12月には東北と東日本の日本海側の山沿いで1メートルを超える積雪となり、2005年以来の大雪となったほか、1月には新潟県十日町市で4年ぶりに積雪が3メートルを超えた。また2月には新潟市で26年ぶりに80センチを超える積雪となり、東京都心での雪の降った日数は26年ぶりとなる10日に達した。

 気象庁によると、この寒波や大雪をもたらしたのが北極振動だ。この冬の北極振動は12月上旬〜1月上旬と、1月下旬からの2回発生。北極圏の気圧が中緯度地域より高くなり、北半球の中緯度地域に北極圏の強い寒気が流れ込んだ。

 逆に、北極圏に近い高緯度地域は暖かくなり、冬季五輪の開催地、カナダのバンクーバーでは冬の平均気温が平年を1.5度上回る5.5度となり、暖冬になった。北極圏と中緯度地域の気圧差は記録が残る1979年以降で最大になった。

 同庁や木本教授によると、北極振動の発生に影響した三つの現象が確認されている。

 まず起こったのが、偏西風が蛇行する「ブロッキング現象」だ。昨年12月初めにアラスカ、その直後に北大西洋上空で蛇行が起きた。このため、アラスカやグリーンランド付近の北極圏で高気圧が発達し、北極振動が生じるきっかけをつくった。

 さらに、成層圏で「突然昇温」が起きた。12月に東シベリア上空、1月に北極上空の気温が30度以上上がった。上空1万メートル付近の対流圏内の大気のエネルギーがその上の成層圏に多く伝わり、北極振動を維持する働きをした可能性があるという。

 ペルー沖で起きていたエルニーニョ現象も北極振動を強めた可能性が高いが、日本にはこの現象が幸いした。北極振動が強まった時期に大雪が降ったものの、エルニーニョの影響で日本の南海上に暖かい高気圧ができたため、例年日本に冬型の気圧配置をもたらすアリューシャン低気圧が近づけなかった。

 同庁によると、北極振動は現在、徐々に弱まっているが、米国などでは今後もしばらく気温が平年を下回り続けるおそれがあるという。

 北極振動は北半球の冬の気候を左右する重要な現象だが、現時点では発生も終息も予測が難しい。過去にも気象庁が「暖冬」と予報した後、北極振動による寒気の放出が続き寒くなったことがあった。木本教授は「北極振動のメカニズムの解明が正確な冬の天候の予報につながる。この冬の現象を詳細に分析して予報精度の向上をはかりたい」と話している。(宋光祐)

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