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国交省、ヒ素汚泥を投棄 八ツ場ダム上流の素掘り処分場

2010年4月22日16時3分

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写真品木ダム(上)近くにある管理型廃棄物最終処分場「C土捨て場」(手前)=群馬県中之条町、朝日新聞社ヘリから、関口聡撮影

 国土交通省が汚染拡大を防ぐ設備のない素掘りの産業廃棄物処分場を群馬県に設置し、大量のヒ素を含む汚泥を長年投棄していることがわかった。廃棄物処理法などで汚泥の処分は遮水設備のある処理場が必要だが、許認可権を持つ群馬県が無害の「土砂に準ずる」と独自に解釈して、素掘りの処分場への投棄を認めていた。

 この処分場は、国交省品木ダム水質管理事務所が、群馬県の許可を得て、同県中之条町の国有林内に2005年に設置した管理型廃棄物最終処分場「C土捨て場」(埋め立て容量32万立方メートル)。ここに運び込まれるヒ素を含んだ汚泥は強い酸性の川水を中和する事業でうまれる。中和事業は下流にある計画中の八ツ場ダムなど吾妻川の構造物を劣化から守るのが目的だ。

 吾妻川の上流のpH2〜3の水は、石灰液を投入してpH5〜6程度まで中和される。このときに汚泥が発生して品木ダムにたまり、年3万立方メートルほどずつ浚渫(しゅんせつ)され、固化剤(セメント)を加えて処分場に投棄されている。

 汚泥に含まれるヒ素は、上流の鉱山跡などから流れてきているとみられ、国交省は設置の申請時に「(川の水)1リットル中2ミリグラムのヒ素が含まれ、その8〜9割を石灰投入で除去」と県に説明していた。

 国交省のダム湖底の汚泥の分析では、04年時点で汚泥1キロあたり最大5.6グラムのヒ素が含まれていた。農地での土壌環境基準の370倍以上にあたる。

 産廃処分場には、浸出水による汚染を防ぐための遮水シートや浸出水処理設備のある「管理型」と、それらがない「安定型」がある。安定型処分場は素掘りで建設や管理が容易で安価だが、持ち込める産廃は外部を汚染する恐れが小さい廃プラスチックなど数品目に限られる。

 産廃である汚泥は管理型で処分しなければならないが、群馬県は「汚染が広がる廃棄物ではない」として「土砂に準じる扱いになる」と独自の解釈で認定。遮水シートや廃水処理施設のない処分場なのに、名目だけの「管理型」として設置を認めた。

 国交省は、この処分場以前にも1989年と92年に2カ所の同様の処分場を設置した。当時は届け出制で、今の許可制のような厳しい審査はなかった。浸出水からヒ素が検出され、排水基準を超えたこともあったが、国交省はC土捨て場設置の申請書類で「浸出水に汚染物質は含まれていない」と記載していた。

 環境省は「有害物質を含む産廃を『汚染の恐れなし』とどうして判断したのか関心を持っている。県から事情を聴きたい」と話している。

 群馬県廃棄物政策課は「周囲に人家がなく、漏水してもいずれ品木ダムに流れ込むので問題ない。これが問題なら品木ダムの底にも遮水シートが必要になる」と主張。国交省品木ダム水質管理事務所は「県の許可を受けており問題はないと考える」としている。

 東京都市大の青山貞一教授(環境政策)は「群馬県が汚泥を実質的な安定型処分場に廃棄してよいと認めるのは非常に脱法的な行為。『不法投棄』を追認しているに等しい」と指摘。福岡大の浅野直人教授(環境法)は「今回の事業者が民間業者だったら群馬県は同じ対応をしたのだろうか。民間と国とで対応が異なれば不公平であり問題だ」と話している。(松尾一郎)

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