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東京都、世界の水ビジネス参入へ 漏水率の低さ「売り」

2010年5月21日15時0分

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 東京都が水道事業の技術を海外に売る「水ビジネス」に乗り出す。アジアや中東を中心に水の需要が伸びる中、多くの都市が水道管からの水漏れや料金の徴収に悩んでいる。世界屈指の漏水率の低さや料金徴収率の高さを誇る東京の水事業。早ければ2013年度からの本格参入をめざす。

 「東京の水道技術は世界一。本気で水ビジネスに取り組んだら、すごいことになる」。4月、都水道局が立ち上げた海外事業調査研究会の初会合。担当の猪瀬直樹副知事は力を込めた。

 浄水場から各世帯の蛇口に届くまでの漏水率は、アジア主要都市は平均30%、東京の約10倍にのぼる。

 世界の水需要は、ユネスコの推計では、25年に00年比3割増。これを賄うための水ビジネス市場は現在年60兆円規模と言われている。

 都の「売り」は、漏水防止と料金徴収のノウハウだ。都水道局によると、東京の漏水率は終戦の1945年は約80%だったが、98年は8%、2008年には3.1%になった。特殊な鋳鉄管への交換を進めたほか、地中の管から水が漏れる音を探って修理を続けた成果だという。

 水道事業を支える料金の徴収率も高い。都の給水世帯は約687万世帯あるが、少なくても89年以降、徴収率は99.9%が続いている。1世帯ずつ回って確認する検針と、口座引き落としやクレジットカード決済など多様な支払い方法が理由だ。

 都は、漏水防止や料金徴収を委託事業として一括受注したい考えだ。自治体が営利目的の事業を直接展開するのは難しいが、第三セクター「東京水道サービス」と民間企業による現地合弁会社設立などの方法を検討する。利益は水道料金値下げなどの形で都民に還元するという。

 企業側の関心も高い。海外で浄水装置建設を手がける日立プラントテクノロジーの国井光男・事業企画本部長は「日本企業の受注は装置建設など一部に限られているが、水ビジネスは管理や運営までの一括受注が主流。都の高度な技術は世界で通用する」。

 三菱商事は今月、オーストラリア第2位の水道事業会社の買収を決めたと発表し、事業の助言役を東京水道サービスが担うことになった。

 17日には総務省の渡辺周副大臣が都庁を訪れ、猪瀬副知事に協力を約束。渡辺副大臣は「都が海外事業で成功すれば、あちこちの自治体が手を挙げる」と期待を語った。

 尾崎勝・都水道局長は「きれいな水がいつでも出るという当然のことが、途上国では悲願。都の高い技術をフル活用し、将来は『おいしい水』の高度浄水処理技術も普及させたい」と話す。(須藤龍也)

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