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デイゴの花咲かせたい 市民らが再生計画 沖縄の県花

2010年7月3日15時2分

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写真デイゴの花=大塚勝久さん撮影

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写真デイゴヒメコバチ=沖縄県森林資源研究センター提供

 デイゴの花が咲かない。沖縄県の県花で、ヒット曲「島唄」にも歌われたデイゴ。沖縄県・八重山諸島や鹿児島県・奄美大島ではここ数年、花が咲かない状態が続いている。害虫が原因とみられるが、駆除剤が高額で、対策が遅れている。もう一度、花を咲かそうと、地元では市民が動き出した。

 沖縄本島の南西約400キロ、石垣島の西に浮かぶ竹富島。桟橋から集落までの約800メートルにデイゴ63本が並ぶ。しかし、この春、花は咲かなかった。

 石垣島では、4月下旬、石垣市内の小学校の高さ約10メートル、直径1.2メートルのデイゴが突然根こそぎ倒れた。幹の中は空洞だった。別の小学校でも次々と枯れ、この2年間で十数本を伐採した。宮古島でも2千本以上の被害があり、現在、沖縄県が状況をまとめている。

 奄美諸島にも被害は及ぶ。映画「男はつらいよ」のロケ地だった加計呂麻島=かけろまじま=(鹿児島県瀬戸内町)。樹齢350年近い巨木も連なる観光名所「諸鈍(しょどん)集落」の85本は今年、ひとつも咲かなかった。町は補正予算で150万円を計上、薬剤散布などをした。

 原因とみられるのがデイゴヒメコバチ。体長1〜1.6ミリで、2003年に台湾で大量発生し、翌年にヒメコバチの新種と発表された。以後、タイ、インド、中国、米国西海岸、ハワイなど世界中に生息地を広げている。

 国内では05年に石垣市で初めて確認された。宮古島や沖縄本島を経て、瞬く間に広がった。卵を産み付けた若葉や枝は「虫こぶ」という状態に丸まり、光合成ができなくなるため、成長が阻まれて衰えると考えられている。

 沖縄県森林資源研究センターの喜友名(きゆな)朝次・主任研究員は「海外でも大量発生しているが、生態がわからず、枯れさせるメカニズムも解明されていない」という。

 同センターは08年、花が咲かない幹に特定の駆除剤を注入すると、ある程度再生することを突き止めた。だが薬は60ccで約2千円。1本のデイゴで最低2万数千円かかり、大木なら4、5万円もする。

 デイゴは、校庭、公園、民家、神事会場となる「御嶽(うたき)」など、至る所に植えられている。石垣市文化財審議会委員長で、市の緑化を進めるNPO代表の前津栄信さん(74)は「御嶽には人の手を加えるべきでないと放置され、見るも無残な木も多い」と嘆く。前津さんはNPOで「デイゴ再生プロジェクト」を開始。4月から市の委託で復活が見込まれる114本に薬を注入し、公共施設などの600本以上の被害も調べた。

 竹富島では、市民団体「竹富島のデイゴを救おう!実行委員会」が発足。210万円を借り入れ、約120本に薬剤を投与した。事務局員の亀井保信さん(59)は「1年前は『近ごろ咲かんで寂しい』と軽く考えていた」と反省する。今年、友人と島中を回ると、全百数十本にヒメコバチがついており、島の長老に協力を呼びかけた。東京や大阪にも支援を呼びかけて募金活動を展開。今月4日、島でチャリティー音楽祭も開く。

 八重山諸島の人々と暮らしを撮り続けているカメラマン大塚勝久(しょうきゅう)さん(68)は「落ちた花弁が珊瑚(さんご)の白い砂を覆うと、深紅のカーペットを敷き詰めたようになる。心にしみる美しさを取り戻そうと、みんなが力を合わせています」。(高橋美佐子)

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