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秋の味、今年はイワシ 豊漁、脂乗って安く大ぶり

2010年9月11日15時2分

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 近年は漁獲量の減少で高級魚とも言われていたイワシが、今年は豊漁だ。理由ははっきりしないが、春先の低海水温が成長を促したという見方や、長期的な資源増減のサイクルの影響などが指摘される。脂の乗った大型が多く、値段も安い。今季不漁のサンマに代わり、この秋の味覚の主役になるかもしれない。

 「今年は当たり年!全身脂のトロいわしです」。東京都に店舗を持つスーパー「シマダヤ」はチラシにこう書き込んだ。千葉県産の刺し身用マイワシが大型4〜5匹で298円。鮮魚担当の東郷龍太郎さんは「安くない魚というイメージを持たれているが、昨年の半値。サンマが高いから、代用という位置づけです」と話す。

 安値なのは、漁獲量が豊富だからだ。漁業情報サービスセンターのまとめによると、今年は8月末までに、宮城・石巻漁港で昨年同期の9倍の水揚げがあり、市場の取引価格は昨年の4割程度。日本一の水揚げを誇る千葉・銚子でも昨年同期の1.5倍だ。漁場は8月まで房総沖が中心で、9月以降は東北沖に移るという。

 今年は、6〜8月の梅雨以降の時期にとれて脂が乗っていると言われる「入梅イワシ」が好調だった。型も20センチ以上の「大羽(おおば)イワシ」が多いことが特徴という。

 日本近海のマイワシ漁は1980年代、毎年400万トン前後の大漁が続き、ロシアなどの外国漁船も日本近海に来ていたが、90年代に入って漁獲量が激減。08年は約3万5千トンまで落ち込んで食卓に届きにくくなり、「大衆魚から高級魚になった」と言われていた。

 水産庁などによると、今年大型が多いのは一昨年や昨年生まれのマイワシが多く生き残ったためとみられるが、漁獲量が多い明確な理由は分かっていない。今年の夏は猛暑だったが、産卵期の春先、産卵域の土佐湾周辺の海水温が、マイワシの好む低温だったことが要因とみる研究者もいる。

 マイワシと同じ時期が最盛期となるサバが不漁気味で、マイワシを狙う漁船が多いという見方もある。水産庁は今季の豊漁を受け、設定している年間の漁獲可能量(TAC)を増やす方針だ。

 マイワシを含め、アジやサバなど多くの魚種では、数十年間隔で増減を繰り返す「レジームシフト」が指摘されている。この流れの中で、今季の豊漁が来年以降の漁獲量増加につながるかどうかについては、水産庁は「長期的に判断しなければならず、現時点では分からない」としている。

 マイワシ豊漁を喜ぶ人ばかりではない。漁師の間では「小ぶりのイワシが少ないと、それをエサにする戻りガツオの脂の乗りが悪くなる」という声もある。(大谷聡)

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