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青森のホタテ、猛暑で大量死 9割以上被害の業者も

2010年10月22日15時0分

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写真吉田さんが引き揚げた養殖ホタテ。口が開き、中身は空だ=青森県野辺地町、鈴木写す

 記録的な猛暑となった今夏、海水の高温状態が続いた影響で、各地の養殖貝に被害が出ている。特に全国2位のホタテ産地、青森県の陸奥湾ではホタテが大量死した。「9割以上が死んだ」という養殖業者もおり、地元の海産物販売店ではホタテが品薄になり、全国への宅配も中止されている。

 青森県野辺地町沖の陸奥湾。13日、地元の漁業、吉田国彦さん(52)が貝の洗浄のため養殖ホタテをくくりつけたロープを船に引き揚げると、口を開け、中身が空っぽになって死んでいるホタテが次々と見つかった。ホタテは死ぬと貝柱などの中身が貝殻からはがれ落ちてしまう。ロープ1本に付く130枚のうち、120枚が死んでいた。

 「他のロープも9割以上死んでいる」と吉田さんはがっくりと肩を落とす。問題はそれだけではない。1〜3年後の出荷をめざす稚貝も9割近く死んだ。「来年も再来年も大変なことになる」

 青森県は昨年度のホタテ漁獲量が約8万トン、売上額約85億円で、全国2位のホタテ産地。ところが、今年8月の出荷量は昨年の6953トンから4分の1以下の1539トンへと激減(県調べ)。値段の方は、県漁業協同組合連合会によると、養殖業者から市場に出す価格が、9月時点で昨年の1キロ平均108円から120円へと上がっている。

 県などは今年9月に「陸奥湾ホタテガイ高水温対策本部」を設置し、被害状況の把握中だが、「経験したことのないホタテ大量死になるのは間違いない」という。

 県によると、ホタテは成長した貝で水温23度、稚貝で同26度を超えると、エサの植物プランクトンを食べなくなり、この状態が続くと体力がなくなって死ぬ。過去25年間、陸奥湾の水温が26度を超えた日は一日もなかったが、今年は7〜9月の3カ月で12日間も26度を超えた。8月の陸奥湾の平均水温は例年より2.6度高い24.1度だった。県産業技術センター水産総合研究所は「陸奥湾は水深が湾口部でも平均60メートルと比較的浅く、水温が上がりやすい」と説明する。

 地元の販売店ではホタテが品薄状態に。通常、毎朝200〜300キロほど入荷するが、今年の8月中旬以降、1週間〜10日に1回しか入荷できない状況だという。全国への配送も中止し、販売も1人2キロまでの制限をつけている。

 一方、全国1位のホタテ産地の北海道では、道によると一部で稚貝の成長が遅れる影響が出ているが、大きな被害は確認されていない。

 今夏の猛暑は、この他にも各地で貝の養殖に影響を与えている。

 カキの産地として全国的に知られる北海道の厚岸湖でも、8月ごろから比較的浅い場所で養殖しているカキの大量死が見つかった。道庁や厚岸漁業協同組合などによると、被害は場所により大きく差があるというが、養殖業者全122戸のうち1割ほどの業者で約5〜8割のカキが死ぬなどの影響が出ているという。

 宮城県の松島湾でも、被害量は調査中だが、同様の被害が出ているという。県水産技術総合センターによると「松島湾は平均水深2メートルと浅く、夏の暑さの影響を受けやすかった」という。東北地方では他にも、海に放つために育てているアワビの稚貝が4割ほど死ぬ被害も出ている。

 水産庁栽培養殖課は「陸奥湾や松島湾のように水深が浅い所や、寒流が入らない海域などを中心に、暑さの影響と思われる貝の被害が出ている。今後は、ワカメや昆布など海藻類への影響も懸念される」と話す。

 築地市場にある大手水産卸会社の担当者は「夏の海水の高温の影響で、多くの貝類の生育状況は悪く、入荷が減っている。十数年来の高値のものもある。ホタテなども、値上がり傾向が続くのではないか」と話している。(鈴木友里子)

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