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駅前ムクドリと終わらぬ攻防 専門家「共生探るべきだ」

2010年11月8日14時33分

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写真柿をついばむムクドリ=日本野鳥の会福島支部提供

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 街のど真ん中で街路樹や電信柱を覆い尽くすムクドリに、各地の都市が頭を抱えている。「ギュルギュル」「キーキー」と激しく鳴き合う大合唱、大量のフン。追い立てても、すぐそばにねぐらを移してまた戻る……の繰り返しだ。発想を変え、共生の道を探ることを専門家は提案する。

 新幹線やJRの在来線、私鉄路線が交差する福島駅。駅周辺にはいま、2万羽を超すムクドリが陣取っている。夕刻、旋回を繰り返して群れが合流し、数を増やしながら低空飛行を続ける。5時前にはロータリー近くのケヤキを埋める。昼は郊外にいるが、夜になると天敵の少ないねぐらにやってくる。

 福島市によると、2001年ごろには駅から約600メートル東の県庁付近に群れを成していた。市が追い払うと福島駅付近に移り、5年前には再び東進。その後、また駅周辺に戻ってきた。駅の西口に密集したこの夏は、ねぐらのケヤキにはムクドリが嫌うにおいを付けたロープを巻き付け、枝も剪定(せんてい)した。しかし、群れは東口に移っただけだった。

 日本野鳥の会福島支部の鈴木滋事務局長によると、ムクドリは繁殖期の4〜6月に一気に数を増やす。ヒナが巣立ちをする7〜9月に作るのが「夏ねぐら」だ。この時期が初冬までずれることもある。ケヤキなどの落葉樹を好み、葉が落ちると、郊外の「冬ねぐら」へ移る。

 ムクドリは本来、害虫を食べる益鳥とされていた。しかし、かつて生息していた農村の防風林などが減少。人間が多い所には猛禽(もうきん)類などの天敵が少ないため、大きな駅や繁華街の周辺に好んで集まるようになったという。

 「いたちごっこ」はどの都市も同じだ。さいたま市は、5年ほど前からJR大宮駅で鳥が嫌う音を流している。地上からサオで木をつつくといった方法も試みたが、一時的に別の場所に移動するだけだった。市民からは、市が流す妨害音の方がうるさい、という苦情も上がったという。

 富山市も、JR富山駅周辺のケヤキ並木に天敵のカラスやヘビの大型模型を置いてみたが、目立った効果はなかった。今年は試みに、鳥が嫌う成分を含んだ忌避剤を木の枝にくくりつけた。その木には近づかなくなったが、樹木1本あたり30万〜40万円という費用がネックだという。

 攻防を終わらせる効果的な方法はないのか。ムクドリの集団ねぐらを長年研究してきた「都市鳥研究会」の幹事・越川重治さんは、色々な対策について、ねぐらを構え始めた初期に集中してやらないと効果が少ないと話す。剪定やネットがけなどの対策をすべての木でやると、結局近くに別のねぐらを作るだけに終わる。

 「下手に追いやると、常緑樹のクスノキや電線などの人工物をねぐらに、一年中住みつくことになりかねない。共存共生を探る姿勢が求められます」。とまってもフン害が少なそうな木を数本程度残しておくなど、柔軟な状況判断も必要だという。(川口敦子)

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