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今冬、寒波は? 気まぐれ「北極振動」に気象庁やきもき

2010年11月28日8時51分

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 冬の予報を出す気象庁を悩ませているのが「北極振動」だ。北極圏で寒気をため込む時期と放出する時期が交互に現れる現象で、放出されると日本列島は寒波に襲われる可能性が高い。昨年の冬は、放出期に重なった。直前まで変化が読みにくいうえ、発生のメカニズムも解明されておらず、予測は難しい。果たして今冬の天候は――。

 気象庁には2005〜06年の冬の苦い経験がある。暖冬と予報していたが、11月末から12月末にかけて北極振動が発生して寒気が南下し、日本を直撃した。北極振動は予兆をつかみづらく、同庁はこの大気の動きを直前まで読み切れなかった。日本海側を中心に大雪が降り、除雪作業中などに全国で130人以上が死亡。大雪による死者数は戦後3番目の多さとなった。

 北極振動は、数週間という短い周期で寒気の蓄積や放出を繰り返し、北半球の中緯度地域に大きな影響を与える。規模は毎回違うし、寒気が流れ込む地域も異なる。

 昨年12月から今年1月にかけて発生した放出は05〜06年よりも大規模で、米・ワシントンや韓国・ソウルなどで記録的な大雪となった。一方、日本は05〜06年ほどの影響を受けず、大雪となった地域はあったものの、平均気温は平年を上回った。

 気象庁は長期予報として3カ月予報(月1回)、春〜夏、秋〜冬予報(年2回)を発表している。長期予報は、高・低気圧、前線の動きを分析する日々の天気予報とは異なり、変化がゆったりした海面水温などに着目。長期的に見て大気にどう影響するかを分析して傾向を出す。北極振動は海面水温の変化とは無関係とみられており、また発生直前にしか分からないので、長期予報に反映するのは困難だ。

 気象庁が10月末に発表した3カ月(11〜1月)予報では、12月の気温は全国的に低めの傾向、1月は平年並みと予測した。

 12月の低め傾向の根拠は、南米ペルー沖の赤道付近に発生しているラニーニャ現象だ。この地域の海面水温が低くなり、フィリピンの東海上に押しやられた温かい海水が蒸発し、上昇気流で活発な雨雲ができる。この影響で、上空を流れる偏西風(亜熱帯ジェット気流)が押し上げられて蛇行し、日本に大陸から寒気が入りやすくなる。

 気象庁が19日に出した翌12月19日までの1カ月予報では、北日本の気温はやや高め、東日本は平年並み、西日本、沖縄・奄美はやや低めの傾向、としている。しかし、ラニーニャ現象と北極振動による寒気の放出が重なると、厳冬になる可能性がある。予報を担当する気候情報課は「北極振動次第で、予報は大きく変わる可能性がある」と話している。

 一方、北極振動は、通常の気圧の変化が起きる対流圏の上の成層圏(上空10〜50キロ)と結びついた現象であることが分かっており、予測に生かそうとする研究が進んでいる。北海道大学大学院の山崎孝治教授(気象学)は「今年は赤道付近の成層圏で西風が吹いている。この場合、北極圏の寒気は蓄積される可能性が高い」と分析する。(二階堂祐介)

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