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パンダに負けるな 上野のカバ、愛され続け100周年

2011年2月23日23時6分

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写真拡大サツキ(左)とジロー=東京都台東区上野公園

写真拡大1911年に初来日したカバ=上野動物園提供

 カバが上野動物園(東京都台東区)に初来日し、23日で100周年を迎えた。これまで21頭が同園で飼育され、悲喜こもごもの歴史を刻んできた。

 1911年2月23日、ドイツ北部のハーゲンベック動物園から1頭の雄がやって来た。1年9カ月後に死ぬまで名前はなかった。「日本に1頭だけなので、あえて名付ける必要がなかったようです」と井内岳志学芸員。大きな口が物珍しく「今でいえばパンダ並み」の人気を誇ったという。

 当時の飼育日誌などによると、カバ舎の前に行列ができ、警備員が「立ち止まらないで進んでください」と声をからした。水中にいないと不安を感じやすいのがカバの習性。カバ舎の池に潜りっぱなしで「ちゃんと見えない」と怒り出す入園客もいた。

 飼育は試行錯誤。36年に赤ちゃんが生まれると、飼育係が「溺れる危険がある」と池から水を抜いた。気を利かせたつもりが、カバは主に水中で授乳するため、赤ちゃんが十分に乳を飲めなくなって生後8日で死んだ。

 国情にも振り回された。敗戦直前の45年4月に雄のマル、その母の京子が相次いで餓死。戦禍の食糧難で上野動物園も十分な飼料を確保できなくなり、大食漢のカバが絶食させられたからだった。

 7年間の不在を経て52年に雌のザブコと雄のデカオがケニアからやって来た。84年まで生きたデカオは同園有数の人気者に。足腰が弱ってかがめなくった晩年は、立ったまま大口を開け、干し草などを丸めた餌を飼育係に放り込んでもらった。この「おにぎり給餌(きゅうじ)法」のユーモラスな姿がまた人気に拍車をかけた。

 今はデカオの娘サツキとジローの夫婦が暮らす。サツキは39歳で人間なら70〜80歳代だが、まだまだ食欲旺盛。毎朝、おからや干し草など15.5キロを平らげる。27歳のジローは何かとサツキに近寄りたがる甘えん坊だ。「2頭は仲が良く、人懐っこいですよ」と井上智右飼育係。入園客がカメラを向けると、大口を開けて応えることもある。

 同園で飼育された21頭のパネル展が5月8日まで開かれている。問い合わせは同園(03・3828・5171)へ。(中川文如)

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