対談「寛容な建築」|2018講演記録|朝日地球会議2018|朝日新聞

対談
「寛容な建築」
ゲスト 建築家、東京大学教授 隈 研吾
聞き手 朝日新聞編集委員 大西 若人

土地に根付く、日本の技術を

隈 研吾さん

隈 研吾さん

新国立競技場を手がけ、世界で活躍する建築家隈研吾さんが、自身の建築の変遷を振り返り、これからの社会に求められる「寛容な建築」とは何か考察した。

現在、約30の国や地域で300ものプロジェクトに携わる。原点は大学院時代にアフリカのサハラ砂漠で集落調査をした経験だ。草原に並ぶ日干しれんがにかやぶき屋根の小屋が、その土地に根付いた建築を表現しているように見え、「これからの(建築の)未来があると感じた」という。

1991年に、東京都内に巨大なギリシャ神殿風の柱と崩れかけた建物が合体した異形の建築「M2」を設計。「その時代の日本が持つカオスを表現したい」という意図だったが、評判は芳しくなかったという。

そうした中で、林業が盛んな高知県梼原(ゆすはら)町の建造物の保存運動に関わり、隈さんを代表する木の素材と向き合うようになった。建築中の新国立競技場も神宮の森に溶け込むように意識して設計した。「昔から一番安く出回っている経済的な木を使った。日本の土着的な技術で、その知恵をアピールできる」と話す。

これからの日本社会に溶け込む建築については、自身が暮らす東京・神楽坂を例に「小さいけど、しゃれている。そういうものが東京の魅力になっていく。そういう場所をつくる都市計画をすべきだ」と指摘。「土着的なやり方が日本に合っている。小さくても寛容さのあるプロジェクトは寛容な建築になる」と話した。

<隈研吾> 1954年生まれ。主な国内作品に、森舞台や根津美術館など。国内外から受賞多数。2009年から東京大学教授を務める。

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