講演「琉球の植物多様性」|2018講演記録|朝日地球会議2018|朝日新聞

講演
「琉球の植物多様性」
国立科学博物館 植物研究部 多様性解析・保全グループ 研究主幹 國府方 吾郎

國府方 吾郎さん

國府方 吾郎さん

琉球列島は、九州と台湾の間に連なる約200の島々からなり、多種多様な植物が見られます。単位面積当たりの種類数でみると、琉球列島は本土と比べて45倍も多い。それは、南北1400キロに広がる琉球列島には、温度や湿度など多様な環境があるからです。さらに、本土や中国、台湾、フィリピンなどの地域から運ばれてきた植物が交ざり合っており、「チャンプルー植物相」と呼びます。遠くは豪州から鳥に運ばれて定着した植物もあります。

しかし、今、多くの固有の植物が、絶滅の危機にさらされています。琉球列島が生息域の北限や南限になっている植物は、わずかな環境変化が生育に影響します。また、植物の個体数が少ないことに加えて、園芸価値が高いものが違法に採取されることもあります。単位面積当たりの絶滅危惧植物の種類数は、本土の60倍多くあります。

沖縄本島中部の景勝地「万座毛(まんざもう)」には、白い花を咲かせるイソノギク(キク科)や、オキナワマツバボタン(スベリヒユ科)など絶滅危惧植物が集中しています。他にも黄色の花が特徴で鑑賞価値の高いマツムラソウ(イワタバコ科)や、増水した川で流されないように葉を細く進化させたナガバハグマ(キク科)も絶滅の危機にさらされています。

一方、琉球列島には貧栄養で酸性の土壌である「荒野林」も広がっています。不毛の地と呼ばれ、土地開発の対象にされやすいですが、実は特殊な環境に耐えられるように進化した植物が生きています。こうした植物は荒野林がなくなると絶滅します。荒野林も大切な環境であると知ってもらいたい。

すばらしい植物がある琉球列島。旅行で行く方はこうした珍しい植物をご覧になってください。

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