パネル討論「AI×IoT時代、『人と人の間』はどう変わる」|2018講演記録|朝日地球会議2018|朝日新聞

パネル討論
「AI×IoT時代、『人と人の間』はどう変わる」
パネリスト NTTドコモ イノベーション統括部 担当課長 秋永 和計
東京急行電鉄株式会社 取締役常務執行役員 事業開発室長 市来 利之
東北大学 大学院情報科学研究科 教授、理化学研究所 AIPセンター 自然言語理解チームリーダー 乾 健太郎
コーディネーター 朝日新聞社執行役員 メディアラボ担当兼メディアラボ室長 堀江 隆

秋永 和計さん

秋永 和計さん

人工知能(AI)や、インターネットとモノをつなぐIoTの普及で、人と人との関係や、暮らしはどう変わるのか。企業には何が求められるのか。開発者や研究者が意見を交換した。

2020年、世界でネットにつながっているモノは500億個になるといわれる。米国の研究では、AI技術が広がると今後10~20年で半分の仕事がなくなる――。討論に先立って、そんなデータが紹介された。


市来 利之さん

市来 利之さん

東北大学大学院教授で、理化学研究所自然言語理解チームリーダーの乾健太郎さんは、AI技術が大量のデータから規則性を学習することでできており、会話の行間を読むことや、データにない「例外」に対応することは難しいと指摘。その上で「過度な期待も過小評価もダメ。何を機械にやらせて、何を人間がやるべきか。丁寧に役割分担する必要がある」と述べた。

NTTドコモイノベーション統括部で、AIを使った対話サービスの開発に携わる秋永和計(よしかず)さんは「人間のおしゃべりをいろいろなところに適用したい」。自動販売機にしゃべりかけるだけで新幹線チケットが買える。そんな機器をつくりたいと意気込んだ。


乾 健太郎さん

乾 健太郎さん

IoTで暮らしを豊かにするには、企業の連携が欠かせないと指摘したのは東京急行電鉄常務の市来利之さんだ。昨年、電力会社や銀行、食品会社などが集まり、実証実験などに取り組む組織も立ち上げた。「IoTはつながるからこそ価値がある」といい、日本企業が陥りやすい「ガラパゴス化」に警鐘を鳴らす。

世界では、企業がデータの収集を進めている。乾さんは、日本企業の多くがデータを大量に持っていながら、現状ではどんどん捨ててしまっているとし、「まずは、きちんと蓄積することから始める必要がある」と提言した。

コーディネーターから

会場全景

「AIの民主化」という言葉がある。AI技術がありふれたものになり、モノとつながることによって誰でも使えるようになることだ。問われるのは、どう使いこなすか。解決したい課題や活用方法は様々。その多様性に目をつむり、いっしょくたに脅威論や期待論を唱えても意味が無い。パネリストも一致した点だ。

AIを鍛えるデータも使い方に応じ多様になる。グーグルなどITの巨人が集めるデータは膨大だが、実は必要な個別データは企業などに「死蔵」されている、と乾教授は指摘する。

朝日新聞社メディアラボがAIによる自動校正の研究に用いる校閲記者からの指摘文も、短期間で捨てていた。目をこらせば、新たなAI活用のための「資産」と方策が見つかる。民主化時代の効用だと思う。(コーディネーター・堀江隆)

PAGE TOPへ戻る