パネル討論「AI音声翻訳が開く未来~『言葉』と『心』の壁を越えて」|2018講演記録|朝日地球会議2018|朝日新聞

パネル討論
「AI音声翻訳が開く未来~『言葉』と『心』の壁を越えて」
パネリスト 愛媛県国際交流協会 外国人生活相談室長 大森 典子
情報通信研究機構 フェロー 隅田 英一郎
お笑いコンビ パックンマックン
コーディネーター 朝日新聞ソーシャルメディアエディター 勝田 敏彦

大森 典子さん

大森 典子さん

日本を訪れる外国人が急増し、少子高齢化に伴う人手不足を背景に、日本で働く外国人の数も史上最多となった。外国人と接する機会が増えている。

とはいえ日本人でも、お互いを知らないと打ち解けられないこともある。そこでお笑いコンビ、パックンマックンの呼びかけで来場者同士が自己紹介。「週末にやったこと、自分に関する情報、行ってみたい国」を話題に、ほぼ満席の会場は会話の渦になった。

「心の扉を開くことは意外に簡単。でも開きにくいこともある」とマックン。立ちはだかるのは、やはり言葉の壁だ。

愛媛県国際交流協会の大森典子さんが、タオルや造船など地場産業を支える技能実習生の「勤務時間や待遇をきちんと知りたい」という思いや「日本の学校の独特の文化・言葉遣いは外国人にまったく通じないことがある」という留学生家族の悩みなどを紹介した。

隅田 英一郎さん

隅田 英一郎さん

そうした課題を解決するため、コンピューターによる自動翻訳の研究を長年続けてきたのが、情報通信研究機構フェローの隅田英一郎さんだ。人工知能(AI)による深層学習と呼ばれる技術で翻訳精度が大きく向上し、実用に近づいていることを報告した。

実際、「空港でスーツケースを置き忘れた人がタブレット端末に中国語で話しかけ、日本人が助ける」という設定のデモでは、翻訳のスピードも精度も高かった。「翻訳エンジンは30言語に対応しており、しかも不眠不休で働きます」と隅田さん。ただ文学の翻訳などは苦手だという。

続くディスカッションでは、大森さんが「技術が全てではなく、日本社会が本当に外国人と一緒に生きていく雰囲気かどうかが大事。『考え方を変えていかないと』とすごく感じます」と話した。


パックンマックン

パックンマックン

コーディネーターから

会場全景

討論の最後にパックンが言った「補助輪」という言葉がとても印象に残った。

私自身、高校の英語の授業で苦労した記憶があるし、自動翻訳がさらに進化すれば「外国語学習のしんどさから解放されるかも」と期待する人も多いだろう。隅田さんによると、自動翻訳の精度は人間を上回ることもあるそうだ。

だがパックンは、むしろ自動翻訳を「人と触れ合うこと、人と交流することのきっかけになればいい」という。「補助輪がついているからこそ、自転車に乗ってみよう」と。なるほど。

技術をうまく使う一方で自分たちも挑戦を続けていく。そういう姿勢が「心の壁」も乗り越え、社会をよりやさしいものに変えていく力になるのだろう。(コーディネーター・勝田敏彦)

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