パネル討論「ポスト2020年に目指す持続可能な社会」|2018講演記録|朝日地球会議2018|朝日新聞

パネル討論
「ポスト2020年に目指す持続可能な社会」
パネリスト MSC(海洋管理協議会)ジャパン・プログラム・ディレクター 石井 幸造
三菱総合研究所理事長、元東京大学総長 小宮山 宏
佐久専務取締役、南三陸森林管理協議会事務局長 佐藤 太一
コーディネーター 朝日新聞科学医療部記者 神田 明美

石井 幸造さん

石井 幸造さん

2020年東京五輪・パラリンピックは、国連の「持続可能な開発目標(SDGs〈エスディージーズ〉)」を取り込んで、計画が作られている。電力を100%再生可能エネルギーにする構想のほか、選手村や競技場で使う木材や食堂の水産物などの選択については、持続可能性に配慮するための基準が設けられた。「SDGs五輪」をきっかけに、20年以降に持続可能な社会をどう実現するか議論した。


小宮山 宏さん

小宮山 宏さん

三菱総合研究所理事長の小宮山宏さんは「人々の心や制度、ビジネスで持続可能な社会のレガシー(遺産)を残さないといけない。例えば、都市鉱山の再生金属でメダルを作るプロジェクトは、市民参加の意識とビジネスモデルが広がることが大事」。プラスチックごみについては、「再生できるものは100%回収し、それ以外は分解できる素材を使うということができれば非常にいい」と話した。

海洋管理協議会(MSC)日本事務所の石井幸造さんは、英国ではロンドン五輪をきっかけに、持続可能性に配慮したMSC認証水産物がホテルやレストランで広く使われるようになったことを紹介。日本でも水産物の持続可能性に関心が高まってきたとし、「東京五輪の機会を逃したら次はない。企業側から消費者に対し、理解を深めてもらうための働きかけが必要だ」と語った。


佐藤 太一さん

佐藤 太一さん

また、宮城県南三陸町の林業会社「佐久」専務取締役の佐藤太一さんは「東日本大震災からの復興の街づくりで、持続可能な林業を目指している」。再建した町庁舎は、持続可能な木材と認める森林管理協議会(FSC)認証の町内の木材を使って建てられた。「町庁舎を建てる過程で、製材所、建設会社、商社にFSC認証を知ってもらえた。今後につなげるために地域間の連携も重要」と話した。

コーディネーターから

会場全景

東京五輪・パラリンピックでは、運営方法や使われるモノに関して、持続可能性が求められる。実際にビジネスはその流れに動き始めている。

木材や紙、パーム油の生産は生産地の環境破壊や地域住民に対する人権侵害が長らく指摘されてきたし、水産資源の乱獲も深刻だ。だが、改善は遅々としていた。資源の再生利用や再生可能エネルギーの導入も含め、SDGs五輪は、社会が持続可能性に配慮する方向に大きく転換するチャンスだ。

2020年はゴールではない。私たちが目指す持続可能な社会に向けた大きなステップととらえたい。ビジネスも消費者もできることを進めていく。討論でそう確認できたと思う。(コーディネーター・神田明美)

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