パネル討論「風力発電は主役になれるか――IoTが鍵を握る」|2018講演記録|朝日地球会議2018|朝日新聞

パネル討論
「風力発電は主役になれるか――IoTが鍵を握る」
パネリスト NTN 常務執行役員・先端技術研究所担当 兼 商品開発研究所長 江上 正樹
気象予報士、テレビ朝日「グッド!モーニング」気象キャスター 太田 景子
エネルギ-戦略研究所 取締役研究所長、京都大学大学院経済学研究科特任教授 山家 公雄
コーディネーター 朝日新聞社教育コーディネーター 一色 清

江上 正樹さん

太田 景子さん

今夏の高温や記録的な大雨、台風などの気象災害が、地球温暖化に起因することは多くの専門家が認めている。テレビ朝日系の朝の情報番組「グッド!モーニング」でお天気キャスターを務める気象予報士、太田景子さんは2018年を「気象の極端化元年」と位置づけた。

地球温暖化への歯止めとして再生可能エネルギーの導入が叫ばれている。中でも風力発電が世界では主役になりつつある。欧州連合(EU)では発電に占める風力の割合が約12%に、米国テキサス州では約20%になっている。一方で、日本では風力の発電量は世界19位で全発電量の約0・6%にすぎない。


江上 正樹さん

江上 正樹さん

日本が出遅れている理由について、京都大学大学院特任教授でエネルギー戦略研究所取締役研究所長の山家公雄さんは「いろいろあるが、環境問題への取り組みに対する国の本気度が違う」と指摘。また、大手ベアリングメーカーNTN常務執行役員、江上正樹さんは「きちんとした政府の目標がないと、企業体はなかなか踏み出せない」という。

ただ最近、日本政府の姿勢が変わってきたともいう。海に風車を設置する洋上風力についてエネルギー基本計画に期待を盛り込んだ。洋上に立地しやすくする法的整備にも取り組んでおり、次の国会で法案の成立を目指している。そうなると、日本でも洋上風力の本格的な普及の時代が来るという。


山家 公雄さん

山家 公雄さん

洋上風力は風車の巨大化を促し、発電コストの低減につながる。ただ、巨大な洋上風力が増えるに従って、設備の維持や修理の効率化も大事になる。NTNは風力発電機の異常をいち早く検知して計画的に補修できるシステムを開発。天気予報の精度の向上も効率的な運用に役立つという。

コーディネーターから

会場全景

日本で風力発電があまり盛り上がらないのは、立地の制約だと思っていた。ヨーロッパのようにいい風が吹くところや遠浅の海が少ないとか、アメリカや中央アジアのように広大な無人の地がないとか……。

でも、専門家は「本気度が足りない」ことを真っ先に挙げる。本気で設置しようと思えば、陸上でも洋上でも適地はいくらでもあるのだという。

では、なぜ本気度が足りないのか。それは再生可能エネルギーが電力の主役になる時代が来ることを、為政者たちが本気で信じていないからではないか。

日本は風力発電で出遅れてしまった。しかし、いずれ主役の時代が来ることを信じれば、遅れを取り戻すことはできるはずだ。(コーディネーター・一色清)

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