パネル討論「本格化する日本のESG投資とSDGs経営」|2018講演記録|朝日地球会議2018|朝日新聞

パネル討論
「本格化する日本のESG投資とSDGs経営」
パネリスト モニター デロイト ジャパンリーダー、デロイト トーマツ コンサルティング 執行役員 パートナー 藤井 剛
企業年金連合会運用執行理事・チ-フインベストメントオフィサ- 濱口 大輔
CDP事務局ジャパンディレクター、PRI事務局ジャパンヘッド 森澤 充世
コーディネーター  朝日新聞編集委員 石井 徹

森澤 充世さん

森澤 充世さん

環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)を重視する「ESG投資」が日本でも本格的になってきたのは、SDGs(国連持続可能な開発目標)を経営方針に掲げる企業が増え、投資する側とされる側の相互作用が進んでいるからだ。

CDP事務局ジャパンディレクターで国連責任投資原則(PRI)事務局ジャパンヘッドの森澤充世(みちよ)さんは「PRIに署名した機関は世界で2千を超え、運用資産は70兆ドル以上になった」と述べた。日本でも、機関投資家が、お金を預けている顧客の長期的な利益を最大化するために、ESGを考慮するようになってきているという。


藤井 剛さん

藤井 剛さん

モニターデロイトジャパンリーダーの藤井剛(たけし)さんは、日本企業のSDGs対応が年間12兆ドルの事業機会や3億8千万人の雇用機会に目が向きがちだとして、「これまでのビジネスでは地球が持たない、持続可能ではないと問いかけられていることを忘れるべきではない」と指摘。社会課題への向き合い方もまだ低い段階にあるものの、「日本企業は、一度意思決定をすると非常に速く動く」と、変化が加速しつつある現状に期待を述べた。


濱口 大輔さん

濱口 大輔さん

企業年金連合会運用執行理事の濱口大輔さんは、巨大地震や労働力人口の減少、国債や株式市場の問題など、気候変動に先んじて議論すべき日本固有の課題が数多くあると主張。「『不都合な真実』にも正面から向き合って取り組まないと本当のESGにはならない」と複眼的な視点の重要性を指摘した。

ESG投資は収益性が低いと指摘されることについて、森澤さんは「海外では長期的には収益が出ているという研究成果や実績がたくさんある」として長期的視点の必要性を訴えた。

コーディネーターから

会場全景

地球温暖化の影響と見られる猛暑や豪雨による被害が国内外で広がるのに呼応して、ビジネスが大きく変化している。リスクはほかにもあるが、この課題に無縁でいられる者はいない。

石炭など化石燃料事業からの投資撤退は、1千機関近く、運用資産総額は6.24兆ドル(約700兆円)に上り、4年前の120倍になった。撤退した資金は、自然エネルギーなど新たな投資先に向かう。お金の流れは明らかに変わった。

日本が遅れた大きな原因は、国の産業政策にある。日本でも生命保険会社やメガバンク、商社に石炭への投融資を見直す動きが出てきた。遅れを取り戻すために次に必要なのは、国がエネルギー政策を根本から転換することだ。(コーディネーター・石井徹)

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