パネル討論「がん患者と装い~アピアランス(外見)ケアの効果とは」|2018講演記録|朝日地球会議2018|朝日新聞

パネル討論
「がん患者と装い~アピアランス(外見)ケアの効果とは」
パネリスト TOKIMEKU JAPAN代表取締役社長 塩崎 良子
美容ジャーナリスト 山崎 多賀子
コーディネーター  朝日新聞文化くらし報道部記者 高橋 美佐子

山崎 多賀子さん

山崎 多賀子さん

2人に1人が「がん」になる今、「アピアランス(外見)支援」への関心が高まっている。通院しつつ仕事や家事をするケースが多いからだ。国立がん研究センター中央病院にも2013年に、「アピアランス支援センター」ができた。登壇した2人の女性は美容やアパレルの最前線で活躍中に乳がんが発覚し、闘病を機に「装い」の力を再発見、新たなライフワークに情熱を注ぐ。

美容ジャーナリスト山崎多賀子さん(57)は05年に告知を受けた。抗がん剤の副作用で髪や眉毛、まつげが抜け、顔色もくすんだ。「体調が良くても顔は重病人で、同情や哀れみを誘うと気後れした。化粧やウィッグ、帽子でおしゃれをすると『きれいになった』と言われ、自信がついた。心と外見と社会はつながっていると実感した」

今は執筆活動に加え、表情豊かで元気に見えるメイクセミナーの講師を務める。「化粧の錯覚効果で男女問わず元気づけて、笑顔を増やせれば」

塩崎 良子さん

塩崎 良子さん

ファッション性を重視したケア・介護用品ブランド「KISS MY LIFE」を展開する16年設立の「TOKIMEKU JAPAN」。塩崎良子社長(38)が治療に専念しようと、8年間も経営したアパレル企業を閉じたのは4年前。絶望のどん底にいた時、主治医に「病院で乳がん患者のファッションショーをやるから手伝って」と頼まれた。

「最初は遠慮がちで自信なさげだった出演者たちがステージ上で輝く姿を見て『私ももう一度起業する!』と奮い立った」

苦しみや悲しみが渦巻く病院や介護施設に、明るく華やかな服や下着を扱うオアシスのような空間を――。そんな思いで関東を中心に現在8カ所の病院で1坪ほどの販売拠点を展開中。

「装うとは、自分らしく生きること。その手助けをしたい」

コーディネーターから

会場全景

がん患者の外見をケアする目的とは「Beauty(美しさ)ではなくSurvive(生き抜く)」――。国立がん研究センター中央病院の野澤桂子・アピアランス支援センター長の解説に、切実さがにじむ。

山崎さんは以前、抗がん剤の影響で顔がシミだらけになって「治療をやめる」と言い出した女性に「シミを隠す化粧が学べるサロンがある」と伝えた。この情報を聞いただけで、女性は治療継続を決めたという。

男性患者に眉を描き足し、目の下のくすみをカバーする機会も増えた。ビジネスシーンでも「見た目」は重視され、社会的な信用を左右する。

国のがん対策でも盛り込まれた外見ケアのさらなる充実を期待したい。(コーディネーター・高橋美佐子)

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