パネル討論「AI・IoTが変える介護の未来 」|2018講演記録|朝日地球会議2018|朝日新聞

パネル討論
「AI・IoTが変える介護の未来 」
パネリスト パナソニック ビジネスイノベーション本部 事業開発センター/総括担当 山岡 勝
国際医療福祉大学大学院教授、前厚生労働省老健局振興課 介護支援専門官 石山 麗子
ポラリス CEO、医師 森 剛士
コーディネーター  朝日新聞編集委員 多賀谷 克彦

石山 麗子さん

石山 麗子さん

世界一の超高齢化と人口減少が同時に進む日本で、公的な介護サービスを維持するためには何が必要なのか。財源にも、支える人材にも限りがある。例えば、人工知能(AI)、あらゆるものがネットにつながるIoTの技術を活用すれば、この課題を克服することができるのだろうか。

国際医療福祉大学大学院教授で、前厚生労働省介護支援専門官の石山麗子さんは、ケアマネジャーの経験を生かし、厚労省でAIケアプランの研究に携わった。その結果から「AIが膨大な介護データを学習してケアプランをつくっても、データが理論に基づいていなければ、ケアマネジャーがAIが導いた答えを説明することは難しい」と問題提起した。

森 剛士さん

森 剛士さん

並行してケアマネジメントの標準化に取り組んだ。要介護の原因になった脳血管疾患などの疾病ごとに標準的なケアをつくり、「自立支援を目指す効率的で無駄のないケアを目指すべきだ」と言う。

70カ所のデイケアセンターなどを運営するポラリス(兵庫県宝塚市)のCEOで医師免許をもつ森剛士さん。目指すのは要介護者の自立支援で、5年間に約500人を介護保険から「卒業」させた。


山岡 勝さん

山岡 勝さん

「歩けるようになるには歩かないと。そのためには脱水予防で水を飲み、栄養・睡眠をとり、薬を飲み過ぎないようにする。経験ではなく理論に基づくケアが必要だ」という。

パナソニックビジネスイノベーション本部事業開発センターの山岡勝さんは「パナソニックの技術を使って、今のお世話型の介護から、科学的データに基づいた自立支援型の介護を確立したい」。施設の部屋にあるエアコンの稼働状況などから入居者の1日の動きや睡眠などのデータを集め、ケアプランに生かそうとしている。

コーディネーターから

会場全景

登壇者3人の話を聞き、介護への考え方を改めなければならないと思った。介護とは、高齢者の衰えた身体能力を補い、生活を手助けすることと思っていた。身体能力は現状維持で御の字で、いずれは衰えていくものと考えていた。

だが、違った。彼らの目指す介護とは自立支援であり、要介護ではない、つまり1人で生活できる「復活のための介護」だ。要介護度の改善、介護保険からの「卒業」の意味を考えさせられた。

過去5年間、森氏のデイサービスに通った高齢者約500人が介護保険から卒業し、社会保障費13億円相当を減らしたことになるという。このノウハウは広く共有すべきだし、課題先進国・日本の強みになる。(コーディネーター・多賀谷克彦)

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